「第3のプラットフォームだけが、ITの市場成長を支えている」――。IDC Japan リサーチバイスプレジデントの中村智明氏は2014年12月18日、2015年の国内IT市場予測「Japan Predictions 2015」の記者発表会でこう述べた。
第3のプラットフォームとは、クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術の4つの要素から構成される、これからのICT基盤のことだ。IDCは近年、この第3のプラットフォームという言葉を使って、ICTの世界で今起こっているパラダイムシフトを説明している。
国内IT市場の概況 |
前年のJapan Predictions 2014では第3のプラットフォームへの移行が予測されたが、その予測通り、2014年の国内ICT市場に占める4要素の割合は、3割を超えるまでになったという。市場全体では0.1%成長(2014年ICT市場)にとどまるなか、「第3のプラットフォームにフォーカスしないと成長できない」という状況に突入している。
今後も第3のプラットフォームへの移行は加速し、2013~2018年の第3のプラットフォームの年間平均成長率は4.3%。「2020年になると、日本のICT市場の4割が第3のプラットフォームになる」とした。
さらに中村氏は、第3のプラットフォームは単なるICT基盤にとどまらず、2015年には「ビジネスプラットフォームになる」と予測した。その意は、第3のプラットフォームをうまく活用できない企業は衰退する一方、「これを使って経営を革新していける企業は、どんどん成長していける」ということだ。
企業のモバイル活用の試用期間が終了し、導入効果が厳しく問われる2015年
では、2015年、第3のプラットフォームを構成するそれぞれの要素で、どんなことが起こり、何が重要になるのだろうか。ここでは4要素のうちモバイルとクラウド、そしてビッグデータ/アナリティクスを支えるIoTの3つに関する中村氏の“予測”を紹介していく。
まずモバイルについては、コンシューマ市場でスマートフォン/タブレットの普及速度が鈍化。代わってベンダー各社は揃って企業ユースにフォーカスする。
また、ユーザー企業側では、モバイルの“試用期間”が終了し、2015年は導入効果が厳しく問われるフェーズに入る。MDMの導入といったレベルではなく、ワークフローなどビジネスプロセスのモバイルへの最適化、業種特化型アプリケーションの展開などが本格化していくという。
2015年は企業にとって、モバイルの導入効果が厳しく問われる年に |
さらに、ウェアラブルデバイスにとっても、2015年はその真価が問われる年になる。
「ウェアラブルについては、ヘルメットに付けたカメラを保守点検に活用したり、航空業界など様々な業種が取り組み始めている。また、ヘルスケアにも注目だ。ただし、当面のウェアラブルを大きく左右するのは、やはりApple Watch。2015年初頭に市場投入されるApple Watchが、どれだけアトラクティブに市場を引っ張れるかにかかっている」