SPECIAL TOPICAI時代の社会インフラを創る! ソフトバンクとエヌビディア「AI-RAN」の挑戦

エヌビディアとソフトバンクなどが2024年2月に発足した「AI-RAN Alliance」。AIとRANを融合するというそのコンセプトが、ついに具現化した。2026年にも商用稼働する新たな無線システム「AITRAS」は、5Gネットワークのあり方を根本から変えるほどのポテンシャルを持つ。やがて到来する「AI時代の新たな社会インフラを作る」という両社の挑戦はこれから本番を迎える。

我々は6年前に、この旅を始めた――。

「AI-RAN」の実現を目指すソフトバンクとの歩みをこう振り返るのは、エヌビディアでテレコム分野のバイスプレジデントを務めるソーマ・ヴェラユサム(Soma Velayutham)氏だ。

エヌビディアでテレコム分野のバイスプレジデントを務めるソーマ・ヴェラユサム(Soma Velayutham)氏

エヌビディア テレコム分野バイスプレジデントのソーマ・ヴェラユサム(Soma Velayutham)氏

AI-RANの目的は、RAN(無線アクセスネットワーク)とAIのワークロードを単一のプラットフォーム上に統合して処理の効率を最大化することだ。下図のように、GPUサーバーをベースに構築するプラットフォーム上でRANとAIのワークロードを稼働させる。AIを駆使してRAN処理を高度化すると同時に、これまでは無線処理のみのためにネットワークエッジに配備してきたRAN設備を、エッジAIサービスの提供も兼ねる新プラットフォームへと変貌させる。

AI-RANのリソース割り当てのイメージ

RANとAIのワークロードを単一プラットフォームに統合する

このコンセプトに賛同する“仲間”が、世界中で急増している。

2024年2月にARMやエリクソン、ノキア、サムスン、T-Mobile USAらと設立した「AI-RAN Alliance」のメンバーは、「わずか10カ月後の現在は49社に達しており、さらに拡大を続けている」(同氏)。

RANは「コストセンターからプロフィットセンターに」

エコシステムが拡大している理由は、AI-RANが通信業界にもたらすインパクトが途方もなく大きいからだ。

メリットの1つは、RANの高度化・効率化によって5G通信の品質向上やコスト最適化が見込めること。加えて、この新インフラとエッジAIを活用すれば、通信事業者はAIビジネスによる収益増への道を拓くことができる。ソフトバンク執行役員 先端技術研究所 所長の湧川隆次氏は、「これまでコストセンターだったRANが、AI-RANによってプロフィットセンターへと変容する」と、その効果を強調する。

ソフトバンク執行役員 先端技術研究所 所長の湧川隆次氏

ソフトバンク執行役員 先端技術研究所 所長の湧川隆次氏(左)と、
同研究所 先端無線統括部 基盤&AI室 室長の山科瞬氏

ヴェラユサム氏が「通信業界における新たなルネッサンス」と表現するこの変革は、どのように実現されるのか。先ごろ行われたAI-RANの実証を基に解説しよう。

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