Colt本社CMOが語る、AIを活用したマーケティング手法とは

ビジネスにおけるAI活用が急速に進みつつある。Coltの英国本社でCMOを務める水谷安孝氏は、コロナ禍を機にマーケティングにAIを取り入れ、顧客企業のコロナの影響度合いを3つのセグメントに分類。セグメントごとに異なるアプローチを取ることで、案件規模の拡大や顧客ロイヤリティの向上など成果を挙げた。

投資先の判断にもAIを活用

こうした取り組みにより、顧客セグメントにもよるが、案件規模は前年度比120~400%と大幅に拡大。また、NPS(ネットプロモータースコア:顧客ロイヤリティを数値化するための指標)の年平均スコアも54ポイントから66ポイントに上昇した。

NPSの年平均スコアは54ポイントから66ポイントに上昇した

NPSの年平均スコアは54ポイントから66ポイントに上昇した

ちなみに、NPSはコロナの感染拡大が収束した2022年度も上がり、平均70ポイントになった。「顧客企業から『つらいときに話を聞きに来てくれてありがたかった』という評価も聞かれたので、コロナ禍における対応が顧客満足度につながっているのではないか」と水谷氏は推測した。

Coltでは、投資先の判断にもAIを活用している。

データに基づき投資先を判断

データに基づき投資先を判断

マクロ経済指標がどうなっているか、あるいはネットワークの広帯域を使う企業がどれくらいいるかといったデータをAIで分析する。「営業にどこが伸びそうか聞くと、個人のバイアスがかかってしまうので、そこを機械的にデータを基に分析するのが狙い」だという。

高まるMachine Experienceの重要性

最近はChatGPTに代表されるように、AIが急速に普及の兆しを見せている。

今後ビジネスにおけるAI活用が進むと、「顧客企業も事業者に対する質問や外部とのやり取りにAIを使うようになる。これまでは対面で話を聞いていればよかったが、そうした時代には、顧客企業のどこがAI化されているかを理解し、AI化されたものに対し、どういうやり取りをしていくべきかというMX(Machine Experience)を考えなければならない」と水谷氏は指摘した。

このMXの重要性については3年前から唱えてきたが、「いよいよ現実味を帯びてきた」という。

そうした時代には、マーケティングの仕事も変化する。「分析するところはAIエンジンで自動化されるので、マーケターは、それが正しいかどうかレビューし、どれだけビジネスに影響があるかを判断することを求められるのではないか」と述べた。

水谷氏は、英ケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネススクールの2023年度Executive MBAコースで、日本人として初めてゲスト講師に選出された。グローバルのビジネスシーンにおいて、AIがどのようにマーケティングやカスタマーエクスペリエンスの向上に活用されているかを解説する予定だ。

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