東陽テクニカは、2020年9月8日に開催された「ローカル5Gサミット 2020」において、「ローカル5Gに向けた無線/有線ネットワークの評価手法」と題した講演を行った。
まず、情報通信システムソリューション部の花澤秀幸氏が、無線ネットワークの評価手法を紹介した。
東陽テクニカ 情報通信システムソリューション部の花澤秀幸氏 |
東陽テクニカは2016年にカナダiBwave Solutions社と国内総代理店契約を締結、屋内における無線ネットワークの設計構築支援ツールを提供している。
このうち「iBwave Design」は、5Gに対応したシミュレーションソフトウェアだ。CADやPDFで作成された建物の図面を基にフロアや建物全体を3Dで再現し、その内部に基地局やアンテナなどを配置すると、出力や特性などを考慮したうえで電波伝搬のシミュレーションが行われる。
iBwaveは屋内における電波伝搬のシミュレーションなどが行える |
「構成を変更した場合には、それに合わせて自動的に計算されるので、トライ&エラーを繰り返し、最適なネットワーク環境を机上で調整することができる」と花澤氏は説明した。
シミュレーションには、建材をはじめ建物やシステムをモデル化するための様々なパーツが必要になるが、iBwaveでは320社・2万2000以上のコンポーネントをデータベース化しているという。
また、シミュレーションの計算方法は、Ray Tracing(光線追跡法)が一般的だが、iBwaveはFast Ray Tracingと呼ばれる独自の手法を採用している。これは、ダイレクトパスや反射、回折を考慮しつつ、余分なところは省略することで、精度を維持しながら計算時間を短縮するというものだ。「いくら計算の精度が高くても、時間がかかりすぎるとトライ&エラーができなくなるので、時間が短くなるように工夫をしている」(花澤氏)という。