総務省タスクフォースが報告書――5000円以下の割安プランの導入求める

携帯電話料金の引き下げについて検討していた総務省の有識者会議は2015年12月16日、5回目の会合を開き報告書を取りまとめた。

その内容は、①利用者のニーズや実態を踏まえた料金体系、②端末価格からサービス・料金を中心とした競争への転換、③MVNOサービスの低廉化・多様化を通じた競争促進の3点からなる。

①については、シニアや子供向けに提供されている5000円以下のプランを参考に、年齢や機種を限定せずライトユーザーが利用しやすいスマートフォンの料金プランの検討を求めた。「具体的な料金ブランの内容は事業者に委ねるべき」と前置きした上で、より少ないデータ通信容量プランの創設や、低容量データ通信プランの低廉化を挙げている。

また、「高額な端末購入補助は著しく不公平」と指摘し、販売奨励金を減らす代わりに長期利用者の負担を軽減するような料金プランの検討を促した。

さらに、これらの料金プランがユーザーの利用実態に合致し、不公平が是正されているかどうか、総務省で事業者に報告を求め、事後的に検証すべきとした。

②については、「実質0円にするような高額な補助(奨励金)は著しく不公平であり、MVNOの参入を阻害するおそれがあるため、補助を適正化する一方、補助を受けない利用者の負担軽減に取り組むべき」とした。

これに関し、構成員のメンバーである野村総合研究所・上席コンサルタントの北俊一氏は「日本では0円に慣れているかもしれないが、世界的に見れば異常な話。端末価格がどのくらいになるのか一切読めないが、数年かけて適正な価格になっていく。そのプロセスの始まりと捉えてほしい」と述べた。

③については、MVNOのさらなる普及を図るため、大手キャリアにHLR/HSSの開放を促すとともに、ユーザーの選択肢を拡大する目的から、中古端末市場の発展が望まれるとした。

高市早苗総務大臣は会合の最後に、「議論にもあったように実効性が重要で、これまでと同じというわけにはいかない。総務省としては、政府の対応・方針を速やかに策定する。サービスや料金の面で多様性があり、わかりやすく、より多くの人に安心して携帯電話を使っていただけるよう、しっかりとした方針を策定して取り組んでいきたい」と語った。

今回の取りまとめでは、スマートフォンを「実質0円」にするような高額な端末購入補助の見直しや、MVNOに対するHLR/HSSの開放促進について総務省にガイドラインの策定を求めている。総務省では、週内にも対応策を公表すると見られる。

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