人間に扮したイヌがユニークなやりとりを繰り広げるCMでお馴染みの日清紡グループ。これからの持続型経済や低炭素社会を支える「環境・エネルギーカンパニー」を旗印に、エレクトロニクス、ブレーキ素材、精密機器、繊維など、多岐にわたる分野で先端テクノロジーを提供している。
その日清紡グループは今、クラウド化に向けて大きく踏み出している。すでに約半分の業務システムをKDDIのクラウド基盤サービス「KDDI クラウドプラットフォームサービス」へと移行。「将来的には、ほぼすべてのシステムをクラウド化する予定です」と日清紡ホールディングスの深川光洋氏は明かす。
日清紡ホールディングス 経営戦略センター 経営戦略室 ITグループ 兼 事業支援センター 財経・情報室 情報システムグループ グループ長 深川光洋氏 |
震災をきっかけに“5本柱”でBCP強化へ
日清紡グループが、クラウドへと大きく舵を切ったきっかけは、2011年3月に発生した東日本大震災だった。震災を契機に多くの日本企業がBCP(事業継続計画)の再考を迫られたが、日清紡グループも例外ではなかった。
経営層からの指示を受けた深川氏らは、ICTインフラに関する事業継続計画を2011年8月に策定する。その計画は、次の5つの大きな柱で構成されていた。
1.被災地以外の地域に影響を及ぼさないネットワーク基盤の構築
2.重要データとバックアップデータの安全な保管先の選定と確保
3.社外からも容易に利用可能なリモートアクセス方法の選定
4.社内にあるサーバー室よりも、もっと安全なプライベートクラウド環境へのサーバー移設
5.インターネット接続設備の増強とアウトソース化
日清紡グループのこれら5つの柱からなる取り組みについて、ネットワーク、モバイル、クラウドという3つの視点から見ていくことにしよう。