KDDI、ソフトバンクなど65事業者が総務大臣に要望書を提出――NTTグループの規制緩和をけん制

KDDI、ソフトバンク、イー・アクセスをはじめ、CATVやISP事業者、MVNOなど65の事業者・団体は2014年4月2日、NTT独占回帰につながる政策見直しに反対する要望書を総務大臣に提出した。

(右から)KDDI藤田元氏、ソフトバンクモバイル徳永順二氏、イー・アクセス大橋功氏

これを受けて同日、3社が揃って記者会見を開催し、要望書の趣旨などの説明を行った。

今年2月に始まった総務省・情報通信審議会の「2020-ICT基盤政策特別部会」では「2020年代に向けた情報通信政策の在り方」について議論されており、その中でNTTグループの規制を緩和する方向で検討が始まったと一部で報道されたことから、NTTグループ内の「セット割」を可能にする規制緩和の動きに反発したかたちだ。

要望書は、①持ち株会社を中心としたNTTグループの支配力は依然として大きいにもかかわらず、複数の報道によれば、総務省はNTTグループに対する規制を緩和する方向で検討を始めたとされている。具体的議論が進む前に、議論の方向性が決まっているとすれば、極めて問題 ②これまでNTTに対しては、料金の低廉化、サービスの高度化・多様化やそれに伴う国民の利便性向上を図るため、巨大な独占組織を分離・分割する等の構造的な措置が取られてきたが、このような規制が緩和された場合、NTTグループの実質的な再統合・独占回帰となり、公正競争の確保が困難になる ③今後の検討にあたっては、多様な事業者による競争を通じて、国民の利便性向上の確保を図るため、これまでの政策の包括的な検証を十分に実施した上で、必要な措置を講じていただきたい、という3点からなる。

NTTグループの市場シェアは現在、固定電話76%、FTTH72%、携帯電話45%などとなっている。ソフトバンク常務執行役員 財務副統括担当兼渉外本部本部長の徳永順二氏は「市場支配力は依然として強大であり、競争事業者が対等かつ有効に競争できる環境は十分に整っていない」と指摘した。 電気通信事業法第30条では、ISPやMVNO事業者に対する不当な優先的取り扱いや、コンテンツプロバイダーや端末ベンダーに対する不当な規律・干渉を禁止している。NTTドコモはこの禁止行為規制の見直しを求めているが、仮にそれを認めると、NTT東西のFTTHを利用できるISPがNTTコミニュケーションズのみ、ドコモのサービスを安価に利用できるのはNTT東西の利用者だけというように、各市場における圧倒的な市場支配力が相互に作用し、独占回帰につながる。また、NTTグループ外のコンテンツプロバイダーなどと連携した場合でも、実質的に裏で連携するなど、支配力の高さによる弊害が起こりえる。その結果、自由競争環境が損なわれ、長期的には市場の停滞や消費者の利便性を損なうため、慎重な議論が必要との姿勢だ。

KDDI理事 渉外コミュニケーション統括本部 渉外・広報本部長の藤田元氏によると、「総務省に要望書を提出した際、担当者からフラットな状態で議論を進めるという感触を得た」という。 「2020-ICT基盤政策特別部会」では、4月8日から3回に分けて関係事業者・団体へのヒアリングを予定しており、今後の議論の行方が注目される。

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