FPGA/eASICを活用しDUの仮想化を実現インテルは半導体製品を中心に多様なネットワーク・プラットフォーム製品を展開している。このうち、5G vRANの商用展開を実現する上で重要な役割を担うのが「vRANアクセラレーター」だ。
5G vRANではRU(Radio Unit)を収容するDU(Distributed Unit)、とデータをコア・ネットワークに受け渡すCU(Centralized Unit)の2つの機能が仮想化の対象となる。このうち大量のデータをリアルタイム処理することが求められるDUの機能は汎用サーバーで代替することが難しく、「本当に仮想化すべきなのか」といった議論が続いている。
インテルは、DUの処理をCPUだけではなく、定形化されたデータを効率的に処理できるFPGAやeASIC(ASICとFPGAの中間的な半導体製品)を搭載したアクセラレーター・カードにオフロードすることで、この問題を解決、vRAN普及への道筋を開いた。
インテルではvRANアクセラレーターとしてFPGAを搭載したNIC搭載タイプの「PAC N3000」やeASICを用いた「ACC100」を製品化しており、これらはベライゾンやボーダフォンの5G vRANでも使われているという。
この他にもインテルでは「インテル(R)Agilex(TM)FPGA」シリーズとなる最新版のFPGAを搭載したアクセラレーター・カードや応答性に優れる不揮発性メモリーの「インテル(R)Optane(TM)メモリー」、光/イーサネット・アダプターなど、多様なネットワーク・プラットフォーム製品で通信ネットワークの仮想化をサポートしている。
vRAN向けの「FlexRAN」をはじめ、インテルの半導体製品を活用して通信システム(あるいはそのコンポーネント)を構築するために必要なソフトウェアや設計仕様などを取りまとめた「レファレンスデザイン」の提供にも力を入れる。
さらに、インテルの半導体製品・レファレンスデザインとパートナー企業のソフトウェア製品などを組み合わせてNFVIやCPEなどを簡便に構築できるカタログレシピ「インテル・セレクト・ソリューションズ」も展開している。
エッジコンピューティングの本格展開に向けMECプラットフォームの「インテル(R)スマート・エッジ/インテル(R)スマート・エッジ・オープン」も用意した。
こうした多様な製品・ソリューションにより5Gのニーズにエンドツーエンドで対応できる体制を整えているのだ(図表1)。
図表1 5Gネットワークをエンドツーエンドで支えるインテルの製品ポートフォリオ
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Beyond5G時代のデータセンターの仕様も提案インテルは5G、さらにその次の6Gの基盤となる、新しいコンピューティング・アーキテクチャーの実現にも力を入れている。
2023年頃の実用化を目指しているのが、開発中のネットワーク・デバイスプラットフォームであるIPU(Infrastructure Processing Unit)を核とした新しいデータセンター・アーキテクチャー「DCOF(Data Center of the Future)」の実現だ。
IPUはサーバーやストレージをネットワークに接続するNICを高機能化し、ネットワーク管理などサーバーのホストCPUが担っていた機能の一部をNIC側で処理するSmartNICの進化版だ。処理能力を向上させ、サーバーのホストCPUが担っていた仮想化基盤の機能もIPU上のサブCPU側に持たせることを目指している。
DCOFでは、汎用コンピューティング、AI処理、ストレージ、アクセラレーションなどの機能を持つコンポーネントがIPUを介して将来的にはファブリック・ネットワークで接続される。データセンター全体を1つのサーバーのような構成にすることで、設備の運用効率を高めることができる。また、仮想化基盤をユーザーのワークロードから完全に分離することでデータセンターの運用・管理が容易になるという利点もあるという。
堀田氏は「DCOFの世界観では、ホストCPU上で仮想化されたDUやCU、コアをサービス提供しているお客様が、IPUを通じてサーバー運用を切り離せる利点への期待度が高く、ぜひ使ってみたいという声が寄せられている」という。
図表2 IPUを活用した新時代のデータセンターの構成イメージ
もう1つ、インテルが6G時代のコンピューティング・アーキテクチャーとして2019年頃から提唱しているのがDCC(Distributed Connected Computing)だ。ガートナーは6Gに向け、今後膨大なデータがエッジ含めたデータセンター・クラウド以外で生成されるようになり、2025年までに全データの75%を占めると予想している。インテルでは、こうした離れた場所にある膨大な数のエッジデータを有効活用するには、これらを統合的に運用し、さまざまな場所にある異なる仕様のデータを共通のAPIで利用できる仕組みが必要となると見ている。インテルでは標準化活動やエコシステムの構備などを通じてこうした6G時代の新たなデータ処理の枠組みを実現していく考えだ。
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