位置情報データと位置情報技術のプラットフォームを提供するHERE Technologies(以下、HERE)は11月4日、日本およびアジア太平洋地域(APAC)における事業戦略説明会を開催した。
HERE Technologies APAC担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのStanimira Koleva氏は、「我々の位置情報関連のインテリジェンスをソリューションとして展開していくには、非常に大きなエコシステムとパートナーシップが必要だ。最近は、従来スタンドアロンでカスタムしていたソリューションをプラットフォーム化することでさらなる展開を狙っており、プラットフォームとして『マーケットプレイス』と『ワークスペース』を提供している」と説明した。
HERE Technologies APAC担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー Stanimira Koleva氏
これらのプラットフォームによって、「我々のビジネス、ソリューション展開のチャンスは無限に広がる。例えば自動車関連ではコネクテッドカー、自動・自律運転の技術、ソリューションなどに様々な形で広がっていくだろう。それに加えて新しいテクノロジー、例えばIoTを駆使した自動化や5Gを中心とした通信サービス分野での展開も視野に入れている」(Koleva氏)という。
HERE Japanの戦略続けて、HERE Japan 代表取締役社長の高橋明宏氏が国内における事業戦略について説明。
これまで日本国内でHEREが独自のマップを所有していなかったことから、今回新たにインクリメントP社のマップを採用したという。これにより「欧米で提供するサービスと同様のデジタル地図と、様々なロケーションサービスが日本でもようやく提供できるようになった。いよいよ日本の複雑な道路事情や番地などに対応した日本市場のマップの利用が可能になる」。高橋氏はこう話したうえで、「HEREは日本市場で『スタンダード』なマップを提供することを目指している」とした。
HERE Japan 代表取締役社長 高橋明宏氏
インクリメントP社のマップを採用
ここで言うスタンダードとは、高いズームレベルで住所や施設名、ビル名の詳細な表示や、広告コンテンツ非表示にするなどの実用性、コンシューマ向けモバイルアプリでの利用はもちろん、配達や設備管理のような業務用のベースマップとしても最適な汎用性、さらにマップの文字や線などをユーザー側で変更できるカスタマイズ性などを満たしていることだという。
HEREは日本においてロケーションに関わるあらゆる課題に応えられるようにフルスタックサービスを提供している。
APIやモバイル向けSDKを通じて提供するロケーションサービスについては、地図表示、ルート検索、住所とPOIの検索、車両の動態管理などを実現するフリートテレマティクス、GPSに頼らず屋内外の位置情報を把握するポジショニング、屋内地図、リアルタイムで提供される交通情報、公共交通機関・自動車・徒歩など様々な移動モードを最適に組み合わせられるインターモーダルルーティング機能を提供。
ロケーションに関する課題に一貫してサービスを提供できる
プラットフォーム/開発環境については、次のように紹介した。
「『ワークスペース』はお客さまが保有している情報(センサー情報など)をHEREの地図情報と掛け合わせながら分析加工する開発環境。『マーケットプレイス』はでお客様が必要とするデータを外部から買ったり、自社データを外部に販売することでマネタイジング可能にしている。『Studio』ではGUIを駆使し、高度なプログラミング技術不要で地図デザインなどがカスタマイズできる機能を提供している」(高橋氏)
さらに産業ソリューションとして、HEREが持ってる様々なロケーションサービスを組み合わせて、特定の業界の課題解決に寄与するソリューションパッケージを提供する。「HERE WeGo」はHEREのサービスで唯一、コンシューマを対象にした、MaaS機能を提供するスマホアプリ。そしてアセットトラッキングなどのユースケースを含めたサプライチェーンマネジメントのソリューションを提供するという。