クルマに乗るユーザーはコネクテッドビークル(コネクテッドカー)、いわゆる「つながるクルマ」に対してどのような期待を持っているのか。そして、どんなサービスなら“カネ”を払っても使いたいと考えているのか。
IDC Japanが、国内の個人ユーザーと事業者ユーザーの契約・利用意向を調査、分析した結果を発表した。
コネクテッドビークル関連サービスは今後の成長が期待される有望市場の1つだ。既存の自動車産業だけでなく、ITベンダーやクラウドサービス事業者など多様なプレイヤーが参入してきている。その市場でビジネスを成功させるためのポイントとして、コミュニケーションズグループ リサーチマネージャーの敷田康氏は「個人ユーザー向けにおいては、運転時の安全/安心サポートが対価を得るうえでのポイントになる」と指摘した。
安全/安心サポートは3分の1超が“有償でも検討”
下の図は、個人ユーザーの利用意向を示したものだ。コネクテッドビークルに興味があり、かつ購入/利用意向を持つユーザーは約26%、「興味はないが、メリット次第では購入/利用を検討する」も加えるとおよそ半分になる。
個人ユーザーの利用意向
コネクテッドビークルそのものの認知がまだ十分に広がっていない現状を考えると、潜在的なニーズは高いというのが敷田氏の分析だ。
では、どんな目的で使いたいと考えているのか。70%以上の回答を得たのが(1)「より安全な運転を行うため」と(2)「目的地までより効率の良い移動を行うため」の2つ。いわゆる“インフォテイメント”に相当する(3)「移動を楽しむための情報/コンテンツ提供サービスを受けるため」は35.0%と低い結果となった。
では、支持を集めた(1)(2)について、ユーザーはコストを負担してでも使いたいと考えているのか。それを示したのが下の図だ。
個人ユーザーのコネクテッドビークル関連サービスの契約/利用意向
n=500、事前調査で、家庭の所有車について「月に数回以上運転する」かつ
「コネクテッドビークルに興味があり、購入/利用を検討する」と回答した人を対象
有償でも契約を検討すると回答したのは(1)が34.2%で、(2)は27.2%。対して、(3)は14.0%と低い結果になった。敷田氏は「インフォテイメントについては、まだ日本では付加価値が見い出されていない」と指摘している。
一方、購入・利用に当たっての阻害要因については、コストの増加を懸念する回答が圧倒的に多かった。60%以上が、「車購入価格にコネクテッドビークル関連コストが上乗せされること」「通信料がかかること」と回答。対して、ハッキングの危険性などセキュリティを懸念する回答は30~40%と意外に低かった。