2005年に設立されたファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)は今年、10周年を迎える。2月に新社長に就任した王剣峰(ジェフ・ワン)氏は5月21日に開催した事業戦略説明会において、「革新」「協業」「現地化」の3つを経営戦略の重点に挙げた。
華為技術日本・代表取締役社長の王剣峰氏 |
革新とは、顧客である通信事業者や端末その他のICT機器ベンダー、SIer等と共同で進める技術開発等を指す。協業については、国内の顧客企業の海外進出や、パートナー企業のソリューション開発をサポートすることで、「Win-Winのパートナーシップを作っていきたい」と強調した。また、現地化については、国内の経済・業界団体、標準化団体への加入と積極的な活動を進めて行くことに加え、国内での人材採用・育成にも力を入れると語った。
ファーウェイ・ジャパンの3つの経営戦略 |
ファーウェイの事業は現在、①通信事業者向けネットワーク事業と②法人向けICTソリューション事業、③コンシューマ向け端末事業の3つの事業グループに分けられる。売上高の67%を占める①通信事業者向け事業が最大の柱ではあるが、それよりも高い伸び率で成長しているのが、②と③だ。特に、②法人向けICTソリューション事業はまだ売上高の7%を占めるに過ぎず、同社にとっては最もチャレンジングな領域と言える。王氏が、パートナーとの協業とエコシステムの重要性を強調したのが、この②だ。
法人向けICTソリューション事業の概要 |
「日本では、他地域とは差別化した戦略で進める。パートナーであるインテグレーターとともにソリューションを開発する」と、提案営業から設計・構築、導入後のサポートまでSIerが重要な役割を果たす日本市場の特殊性に合わせたかたちで法人顧客の開拓を進める方針を示した。なお、NECネッツエスアイや日商エレクトロニクス、ユニアデックスなど、パートナーは10社を超えており、ターゲットとしては、「ISPやデータセンター、インターネット業界にフォーカスする」と話した。ファーウェイジャパンの法人向け事業は、まだ2年と歴史が浅く、「知名度はまだまだこれから。ビジネス規模はまだ小さい」としながらも、パートナーとの協業重視で注力する姿勢を見せた。
ファーウェイの2014年業績 |
なお、同説明会では、ファーウェイの2014年度の事業別業績も発表した。通信事業者向けネットワーク事業が前年比16.4%と安定した成長を見せる一方、コンシューマ向け端末事業が同32.6%、法人向けICTソリューション事業が同27.3%と高い伸び率を達成している。総売上高は、前年比20.6%増の5兆5507億円、純利益は同32.7%増の5374億円。なお、「ファーウェイは毎年、売上高の10%以上をR&Dに投資している」と、研究開発への継続的な投資が高い成長率を支えている最大の要因だと話した。2014年度は売上高の14%に当たる7858億円をR&Dに投入。過去10年の累計投資額は約3.6兆円にものぼるという。