「これは企業にとって、新たなパラダイムへの1つの旅路(Journey)なのだ」
日本ヒューレット・パッカード(HP)は2014年3月14日、企業のモバイル戦略に関する記者説明会を開いたが、HP エンタープライズグループ テクノロジーサービス ネットワーキング&モビリティ ワールドワイド・ストラテジストのクレイグ・パトリッジ氏はこう述べた。
HPが企業のモバイル戦略を「旅路」にたとえるのは、例えばMDMの導入だったり、「何か1つの特定製品での解決は、本質的な解決にはならない」(日本HP エンタープライズグループ事業統括 テクノロジーコンサルティング事業統括 モビリティソリューション 大村恵吾氏)という考えからだ。企業にとってモビリティ化とは、従来型のクライアントサーバーモデルに、モバイルとクラウドを組み合わせた「新しいコンピューティングパラダイムへの移行」(パトリッジ氏)であり、一朝一夕に成し遂げられるものではない。
クライアントサーバー+モバイル-クラウドがこれからのパラダイム |
例えばIT部門の考え方1つをとっても、今までの「ユーザーに権限を与える(そしてそれを管理する)」というアプローチから、「ユーザーに選択肢を与える(そしてそれを支援する)」へと変わる必要がある。また、今までの資産をすべて捨てて、旅立つわけでもない。既存の資産を活かしながらの旅である。
モビリティ化に向けて取るべきアプローチ |
だから、企業は、モビリティ化を1つの長い旅と捉え、しっかりとした戦略のもと、着実に取り組んでいく必要がある、というのがHPの意見だ。
モビリティ化におけるHPの強みとは?
モビリティ化の旅をサポートするパートナーとして、HPがアピールした点は大きく3つある。
HPが強調した3つのポイント |
まずはPC/タブレットからネットワーク、ITサービスまで、エンドツーエンドのモビリティソリューションをグローバルレベルでワンストップ提供できるという点だ。
2点目は、HPが自社導入の中で蓄積してきたモビリティ化のノウハウと経験である。例えばクレイグ氏が強調したのは、マイクロソフトのユニファイドコミュニケーション(UC)製品「Lync」についてだ。「HPでは、32万人規模で利用している。おそらく世界でもこれだけの規模でLyncを利用している企業はないだろう」。また、HPではBYODも15万人規模で実施している。なお、モバイル戦略においてUCは、離れた場所にいる人同士を円滑につなぐためのツールと位置づけられる。こうした自社実践で培ったノウハウをもとに、ITだけではなく、人事・労務面も含めてサポートを提供できるという。
3点目は、充実したサービスポートフォリオだ。HP製品のみならず、「各分野のリーディング企業とのアライアンスにより、様々なリクエストに応えられるポートフォリオを用意して提供する」と大村氏は説明した。