「パッケージ型UC」の可能性
その好例が、東京都・奥多摩町の事例だ。医師不足と医療費負担の高騰という2つの課題を解決する手段として、UCを活用した遠隔予防医療相談システムを活用。自治体がその効果を認め、事業化が正式決定した。
この事例で活用されているのは、Sphericallをベースに開発された遠隔相談ソリューション「Sphericallコンシェルジュ」だ(図表2)。簡単な操作で遠隔地をつなぎ、音声、Web、ビデオを活用した応対を可能にする。
図表2 NECのUC遠隔相談ソリューション「Sphericallコンシェルジュ」の活用例(医療相談の場合) |
奥多摩町に続き、沖縄県内のある医療関連法人にも採用され、自治体との連携により遠隔相談サービスが提供されているという。こちらのケースでは対象を高齢者に限定せず、タッチパネル操作による健康情報検索、住民のデータ登録・参照などにも対応。より幅広い住民サービスが展開される予定だ。
NECでは、Sphericallコンシェルジュを医療以外の多様な業種に展開していきたい考えだ。他の行政サービスへの横展開に加え、「観光業などの一般企業に対しても提案していきたい」と神谷氏は語る。
Sphericallコンシェルジュの相談画面 |
付加価値の高い情報を持つ人と、それを求める人を結びつけるという点については、NECだけでなく他のベンダーも取り組みを進めている。前述した、マイクロソフトの次期OCSには、「スキルサーチ」と呼ばれる機能が搭載される。これは、Office Communicator上で人を検索する場合、名前や所属部署だけでなく、各個人が登録したスキルなどからも検索可能にするものだ。
シスコも、昨年11月に新たにソーシャルソフトウェアへの参入を発表。ビデオコンテンツを活用して社員間でのアイデアや専門知識の共有を可能にする「Cisco Show and Share」を同社のUCポートフォリオに加えている。
なお、Sphericallコンシェルジュには、前述した「UCの適用パターンの拡大」の他にもう1つ重要な点がある。相談業務というという特定業務に的を絞った「UCのパッケージ化」を実現したことだ。今後さらに他の業務分野を狙ったパッケージが登場すれば、UC導入はさらに活性化していくはずだ。
[第1回] ユニファイドコミュニケーションの「7つの入り口」とは?
[第2回] コミュニケーションツールの統合で運用コスト削減