現在はコストカットを切り口に導入されるICTソリューションが圧倒的に多い。連載第1回では、IPテレフォニー、モバイル、Web会議など、ユニファイドコミュニケーション(UC)には7つのエントリーポイントがあると紹介したが、こうした切り口とは別に、当然コスト削減もUC導入の重要な入り口となる。具体的には、電話、メール、Web会議、社内SNSなど、多種多様なコミュニケーションツールの運用にかかるコストをどう削減するのか、という視点だ。UCにより、これらコミュニケーションツールを一元的な運用を実現すれば、管理者の運用負荷は大幅に低減する。
Exchangeなどとの親和性の高さが特徴のOCS
この点に関しては、オフィスアプリケーションで高いシェアを誇るマイクロソフトに大きなアドバンテージがある。同社の「Office Communications Server 2007 R2」(OCS R2)はExchange ServerやSharePoint Server、LiveMeetingなどとともに一元的に管理できるため、その負荷を大きく軽減できる。
同社・インフォメーションワーカービジネス本部ユニファイドコミュニケーショングループ・シニアプロダクトマネージャの桑原智宏氏は、「OCS R2の提供開始後、PBXの更改のタイミングでOCSとIP-PBXが比較検討されるケースが増えてきた」と語る。
Exchange等との親和性と価格面、そして運用管理のしやすさ等のメリットをユーザーが評価してのことだが、「それでも日本特有の電話の使い勝手と信頼性がネックとなり、音声通話についてはIP-PBXをOCSとつなぐという選択をされるケースが多い」と明かす。
マイクロソフトはこの状況を、2010年内にリリース予定の次期OCSでさらに前進させる考えだ。音声通話の信頼性を高めるために、コールアドミッションコントロール機能を実装。さらに、OCSが設置されたセンター拠点と支店間のネットワークが遮断された際にも、支店の通話を維持するアプライアンスユニットも用意する予定だ。
その他、OCS R2で対応していなかったパーク保留の機能も搭載するなど、日本的な電話運用にも配慮。その他にも数々の新機能が搭載される予定という。
「開発陣には、日本企業のニーズをフィードバックしてできる限り反映してもらった。電話も含めてすべてソフトウェアベースでUCプラットフォームを提供するという当社のビジョンを、次期OCSでは自信を持って提案できる」と桑原氏は胸を張る。