NTT東日本は2024年1月24日、法人客向けにグループのソリューションや技術を紹介するイベント「NTT東日本グループ 地域ミライ共創フォーラム2024」を東京・調布のNTT中央研修センタで開催した。
イベントでは、この日開設が発表されたIOWN技術のユースケースの創出を目指す「IOWN Lab」が公開され、NTT東日本が各企業と取り組む共同実証が紹介された。
IOWN利用し遠隔でリアルタイムに顔認証
NECとの顔認証技術の実証では、これまではオンプレミスサーバーが必要だったリアルタイムの顔認証を、IOWNのAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)を介して遠隔で行うデモが披露された(参考記事:NECとNTT東、IOWNを活用したユースケース創出に向けて実証を開始|BUSINESS NETWORK)。
会場に設置のカメラが撮影した映像をAPNを通じて千葉・我孫子の認証サーバーに伝送し、認証を行う。映像内の複数の人物がデータベースに登録済みかどうかを瞬時に判定し、会場のモニターには登録済みの人物は緑枠、未登録の人物は赤枠で表示された。データベースへの登録も、タブレットを用いてその場で行うことができ、即時反映された。
APNを介したリアルタイム顔認証。床に設置したライトも認証結果と連動する
担当者によると、APN IOWNによりリアルタイム顔認証がクラウドサーバーでも利用可能になり、コストを削減しユーザー企業の導入のハードルを下げることが期待できるという。
また三菱電機とは、産業用ロボットの遠隔研修の実現に向けた取り組みを行っている。
APNを活用した産業ロボットの遠隔研修の実証
従来、ロボットアームの遠隔操作には、カメラが捉えた映像の画質に起因し、前後方面の距離感を捉えにくいという課題があったという。そこでこの実証では、三菱電機の産業用ロボットとAPNプロトタイプ機を接続。通信にゆらぎが生じないAPNを介することにより、複数視点からの高精細な映像を1つの画面に表示することができることを示した。これにより、物体を立体的に捉えられ、繊細な作業を容易にするという。
APNと無線を組み合わせた低遅延・大容量映像伝送の実証にも取り組む。フジクラ製の60GHzミリ波無線モジュールと、テラピクセル・テクノロジーズ製の映像機器を組み合わせてロボットに搭載したカメラを無線伝送する環境を、NTTコムウェア五反田ビルに構築し、APNを介してIOWN Labに伝送するデモを展示した。無線区間を含んでも高精細映像を低遅延で伝送する技術をデジタルツインに活用し、運用業務の省力化を目指す。