物理ネットワークと仮想ネットワークの連携――。言い換えれば、アンダーレイネットワークとオーバーレイネットワークのそれぞれの利点を上手に組み合わせて、より最適化されたデータセンターを実現しようという「オンデマンド・データセンター構想」を今年5月に打ち出していたブロケード コミュニケーションズ システムズ(関連記事)。同社は10月4日、その第2ステージに関する発表を都内で行った。
アンダーレイ(物理)ネットワークの重要性を強調するブロケード |
発表の1つめは、アンダーレイ(物理)ネットワークのさらなる進化だ。ブロケードは、データセンターネットワーク向けにBrocade VCSファブリックを提供しているが、今回新たに「バーチャルファブリック」という技術が発表された。
バーチャルファブリック技術の概要 |
バーチャルファブリックは、「アンダーレイ環境でマルチテナントを作る技術」(SDNビジネス開発本部 執行役員 尾方一成氏)。共有の物理ファブリック内で、テナントごとに論理ファブリックを構成できる。
ポイントは物理ファブリック内で、VLANの上限である4094を超える8000のマルチテナント環境を構築できることだ。理論的には1600万まで対応でき、将来的にはさらに大規模なマルチテナント環境をサポートするという。技術的には、TRILL Fine-Grained Labelsがベースになっている。
VLANの上限を超えるマルチテナントのサポートは、まさにオーバレイ(仮想)ネットワークの主要ニーズの1つだ。尾方氏はオーバーレイネットワークではなく、バーチャルファブリックによって物理ファブリックで実現するメリットについて以下のように説明した。「注目してほしいのは運用性だ。VLANの知識でマルチテナント環境を作れる。また、ネットワーク担当者とサーバー担当者が今まで通りの役割分担で運用できる」
さらにオーバレイの場合、カプセル化されたトラフィックの可視性や制御に課題があるが、この点でもバーチャルファブリックのほうが優れるという。
マルチテナントの実現方法の比較 |
このほか、Brocade VCSファブリックとヴイエムウェアのオーバーレイ方式の仮想ネットワークソリューション「VMware NSX」が連携する「Brocade VCS Gateway for VMware NSX」も発表された。これは、VLAN-VXLAN変換のためのVXLANゲートウェイの機能だ。VXLAN対応が難しい物理サーバーやストレージ、ファイアウォールなどをつなぐ。
VXLANゲートウェイ機能の概要 |
バーチャルファブリックおよびVXLANゲートウェイの機能は、来年1月から提供が開始される予定。対応するのは、9月から出荷が始まった新製品「Brocade VDX 6740/6740T」だ。バーチャルファブリックおよびVXLANゲートウェイの機能は、ASICにより実現されるため、既存製品は対応しない。
Brocade VDX 6740/6740Tの概要 |