――5Gの商用サービス開始から2年です。この2年、社会は新型コロナウイルスの影響により大きく変化したわけですが、5Gに関してはどのように見ているでしょうか。
三瓶 5G回線を使ったサービスはあるが、5Gでなければ出来ないサービスはまだ乏しいというのが実感です。これはユーザー側の強い実感でもあるでしょう。4Gでも実現できるレベルのサービスしかないというのが事実です。
では、何が阻害要因なのか。私はユーザー側の問題がかなりの部分を占めていると見ています。デジタルトランスフォーメーション(DX)に対するモチベーションが低いのが、すべての原因ではないでしょうか。
大阪大学 教授 三瓶政一氏
――巷では盛んに「DX、DX」と言われているように思いますが、まだ足りませんか。
三瓶 盛んに言われている意味は、「DXがまだ入っていない」ということです。多くの場合、「仕方なく」「最低限で」というニュアンスで言っているようにしか聞こえません。
実際、DXのために5G やローカル5Gを本格導入している企業は、まだ非常に限られています。NECが1セット498万円からのシステムを発表するなど、ローカル5Gのシステム価格自体はかなり下がりました。ここまでコストが下がれば、現段階では「妥当なレベルになった」と言っていいでしょう。つまり、問題はコストと違うところにあって、それはDXに対する意欲の低さだったり、考え方の未熟さなど、ユーザー側の責任ではないかと私は思っています。