100G超の「一芯双方向」でファイバーコストを一気に半減光伝送システムのApolloについても、次世代版の開発を進めている。目玉の1つは、やはり広帯域化だ。
Apolloの現行製品は1波長当たり400G伝送をサポートしている。競合他社は帯域需要に応えるため「1波800G」製品を市場投入しているが、宮下氏は、「我々はチャレンジャーだから、800Gを飛び越えて、1波長1.2Tを準備する」と話す。最大1.2Tをサポートするトランシーバー新製品を2023年にリリースする予定で、2RUで19.2Tという業界最高レベルの伝送密度を目指す。当初はデータセンター間接続(DCI)のように短距離かつ帯域需要の大きい領域へ適用した後、「1波400Gや600Gの中距離伝送にも使い回せるソリューションとして展開していく」考えだ。
もう1つの目玉は、この3月にリリースした「一芯双方向伝送ソリューション」、いわゆるBiDi(Bidirectional)だ。これも「日本で、かなり大きな需要がある」。
通常は上り/下りで計2本のファイバーを使う光伝送を一芯化するBiDiは、コスト効率の高いソリューションとして知られるが、技術的な制約が大きく、これまでは10G以下の低速領域でしか用いられていなかった。400G伝送が普及するに連れて「高速BiDi」への期待が高まっているのを受けて開発したのが、図表2に示すソリューションだ。
図表2 100G DWDM 一芯双方向ソリューション
図表下側の機器構成に、100-200G BiDiをサポートするコヒーレントトランシーバ等を収容し、1本の光ファイバーで双方向の大容量通信を可能にする。100G以上の広帯域伝送でBiDiが使えれば、従来は2本借りていたダークファイバーを1本でまかなえるようになり、OPEXは半減。帯域需要が際限なく高まる5G時代に向けて、非常に心強いソリューションとなろう。「特にアクセス網やDCIのような中距離で、かつファイバー容量が切迫しているところでの需要が大きい。低速でしか使われていなかったBiDiが、いよいよ高速大容量のエリアでも使われていくことになる」と、宮下氏は手応えを語る。
アクセス・エッジの革新へ IP/光統合や自動化も推進このように、ECI Telecom時代からの技術と実績をベースに日本市場でも攻勢をかけるリボンだが、ソリューション開発は、同社が2021年から掲げる「IP WAVE」というフレームワークの中で進められている。
IP WAVEとは、アジリティや経済性の向上といった価値をサービスプロバイダーにもたらすことを目的としている。IP/光ネットワークの統合やオープン化/マルチベンダー化、ネットワーク運用の自動化といった、キャリアネットワークの構造そのものを変革しようというニーズに対応するものだ。
先に述べたMulti access Edgeや、1波1.2Tへの大容量化・高密度化、100G超の一芯双方向も、「アクセス・エッジ領域の革新」によってキャリアネットワークの経済性を高めようというIP Waveのビジョンに沿って開発されている。
ただし、それらもリボンが仕掛ける「革新」の手始めに過ぎない。IP/光統合やオープン化、自動化といったキャリアの要望に応えるうえで核となるのが、SDNコントローラのMuseである。
リボンはMuseの機能拡張にも積極的な投資を行っており、従来のエレメント管理/ネットワーク管理機能に加えて、「サービスドリブンでIPと光を活用できる仕組みをMuseで実現しようとしている」という。IPと光伝送の統合・最適化、マルチベンダー構成のネットワーク運用自動化等の機能にさらに磨きをかける。これにより、長きにわたる寡占によって選択肢が限定されてきたキャリアインフラ市場に「第3の選択肢を提供したい」と宮下氏。リボンのさらなる攻勢に注目だ。
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