「少子高齢化や人口減少に伴い、山口県も産業面や生活面でいろいろな課題を抱えている。ぜひ5Gの基盤を活用し、これらの課題を1つずつ解決していきたい。また、こうした分野こそ、5Gが本当に活きてくると思っている」
山口県知事の村岡嗣政氏は2月19日、都内で開催された「5G国際シンポジウム 2020」の招待講演に登壇し、こう話した。
人口約136万人の山口県。全国より四半世紀も早く人口減少が進行し、今は毎年約1万人の人口が減っている。若者、女性の転出が多く、高齢化率は全国4位だ。
産業としては製造業が強いが、「人手不足が常態化している」と村岡知事。後継者不在率も全国3位だという。そして生活面では、医療・介護人材の不足、鉄道やバス等の二次交通の弱体化などが進んでいる。
山口県の現状と課題
これらの課題に対応するため、山口県では以前からICTの活用推進に力を入れてきた。中小企業におけるクラウド型RPAの共同利用化、IoTによる農業のスマート化、衛星データを使った災害対策、AIを活用した日本酒造りなどだが、「5Gの基盤が整ってくると、こうした取り組みをもっとレベルアップできたり、活用の幅が大きく広がっていくと期待している」。
実際、山口県は5Gの活用推進に向けて、具体的に動き始めている。NTTドコモと2019年9月、5Gによる地域活性化についての協定を締結。「これをもとに来年度、様々な取り組みを行っていく」という。