アカマイ・テクノロジーズは2015年3月11日、事業戦略説明会を開催し、そのなかで東京セキュリティ・オペレーション・センター(SOC)を新たに開設したと発表した。
Webの高速化や大容量コンテンツ配信などで知られるアカマイ。世界のWebトラフィックの実に15~30%をアカマイが配信しているというが、最近同社にとっての重要性が高まっているのが、セキュリティソリューションだ。
昨年10月にはDDoS攻撃の緩和を行うスクラビングセンターも東京に開設しており、国内のセキュリティソリューションの提供体制がさらに強化されたことになる。徳永信二社長も、「セキュリティは昨今、最も力を入れている分野」と強調した。
アカマイ・テクノロジーズ 職務執行者社長 徳永信二氏 | 米アカマイ・テクノロジーズ シニアディレクター グローバルセキュリティオペレーションズ ロジャー・バランコ氏 |
アカマイでは、DDoS攻撃対策およびWAFの「Kona Site Defender」、DNSへのDDoS攻撃を防ぐ「Fast DNS」、データセンターへのDDoS攻撃を防ぐ「Prolexic」といったセキュリティソリューションを提供している。およそ17万台のサーバーで構成される「Akamai Intelligent Platform」での超分散処理によって、非常に大規模なサーバー攻撃にも対抗できるというのが、同社の大きなセールスポイントの1つだ。
アカマイのセキュリティソリューション群 |
今回、東京にSOCを開設した意義について、米アカマイ・テクノロジーズ シニアディレクター グローバルセキュリティオペレーションズのロジャー・バランコ氏は、「日本語が分かるのはもちろん、日本の風習を分かった要員が対応できる」と説明した。SOCでは、攻撃のリアルタイム分析、カスタムシグネチャの作成、ユーザーの設定支援、トレーニングなどのサービスを提供する。
「顧客を守るために、他社はIPブロッキングで対応するケースが多いわけだが、IPブロッキングでは十分ではない。カスタムシグネチャを作成するほうが、防御力が高い場合が多い。我々のSOCのエンジニアは非常に経験とスキルが豊かで、顧客をしっかり守ることができる」
このほか、Kona Site Defenderのマネージドセキュリティサービスの提供や、Prolexicの全サービスの提供も発表された |
また、DDoS攻撃の除去を行うスクラビングセンターの東京開設に関しても、バランコ氏は「大きな利点がある」と語った。
DDoS攻撃のトラフィックは、より攻撃者に近いスクラビングセンターで処理されるが、「日本に開設されたことで、トラフィックをスクラブするために、香港や米国にデータを送る必要がなくなる」という。
F5ネットワークスやラドウェアもクラウド型DDoS攻撃対策サービスの国内提供を開始するなど、最近、活発な動きがみられるDDoS攻撃対策ソリューション市場。
徳永氏は、「国内でのセキュリティソリューションの顧客数は現状、率直に言って多いわけではない。ただ、今後2~3年で、我々の顧客の8割がセキュリティソリューションをパーチェイス(購入)すると考えている」と意気込んだ。