4.2.3 最初は思いの共有から
Nextiのグループ展開活動をスタートするにあたり、最初に手掛けたことは、NTTデータ社員とグループ会社社員の間での思いの共有でした。どちらも「つながりたい」と思っていても、環境や立場が異なればその理由も思いの強さも違ってくるからです。
2007年11月のある日、顔を突き合わせての意見交換会(つまり飲み会)を開催しました。その場で得られた新たな気づきは、次のようなものでした。
・グループ会社社員が、こんなにもNTTデータ社員とつながりたいと思っているとは想像していなかった。一方、NTTデータ社員がこんなにグループ会社のことを考えているとも知らなかった。
・「顔が見える」「その人を知っている」ということがあるのとないのとでは、その会社に対する思いが全く異なる。人を知らないことが無関心を生む。
・情報は本来、公開すべきものはきちんと公開し流通させることが重要。それにもかかわらず、情報の公開範囲を関係者や社内に閉じるなど、安易に厳しいものにしているのではないか。
様々な気づきを得られた意見交換会を通じて、メンバーは「グループ展開を成功させるためにはグループ会社社員の参加が必要である」という確信を得ました。
4.2.4 トップダウンの動き
意見交換会から3週間ほど経った2007年12月中旬、その参加者全員に1通のメールが転送されてきました。送信元はNTTデータのグループ経営企画本部で、内容は「山下(徹)社長からNextiのグループ展開について考えるよう指示が出た。リスペクターズと相談させてほしい」というものでした。これからグループ経営により一層力を入れていくNTTデータグループにとってNextiが大切な存在になると、トップマネジメント層も考えていたのです。
年の瀬もせまる2007年12月下旬。グループ経営企画本部とリスペクターズ、そしてグループ展開に思いを持つメンバーが集まり、打ち合わせを実施しました。
そこでは、
・来年度の事業計画や予算を考慮し、2008年1月中に何らかの方向性を決める
・検討の経過をステアリングコミッティで社長に報告する
・まずは、やる気のあるグループ会社をNextiにトライアル参加させるので、そのための課題を洗い出す
の3点が決定しました。
この打ち合わせの結果を、Nextiのグループ展開について関心を示していたNTTデータ東海の中村充孝社長に報告しました。同社長の返答は「NTTデータ東海でも既に社内SNSを立ち上げている。しかし、NTTデータ東海社内の人数だけでは盛り上がりに欠け、限界を感じている。Nextiのグループ展開にはぜひ協力していきたい」というものでした。また、グループ展開に対するNTTデータ東海の窓口となる人を紹介してもらいました。
そして、2008年2月のステアリングコミッティで、Nextiのグループ展開についての途中経過として、検討メンバーにグループ会社が参加していること、各社の思い、目指したい姿、実現案とスケジュールについて報告しました。その報告を聞いた経営幹部からは、活動を承認するとともに、「セキュリティについて十分留意すること」「ボランティアの活動だけでは限界があるので実組織と連携すること」というコメントが付けられました。