テレビ会議やWeb会議は、ネットワークやディスプレイなど技術の進化やスマートデバイスの普及に加えて、新型インフルエンザやリーマン・ショック、無差別テロ事件など海外出張を取りやめざるをえない事由も導入の契機となってきた。
そして今、新たな追い風となっているのが、企業における「働き方改革」の動きだ。その一環として、オフィス以外の場所で仕事をする「テレワーク」を推進する企業が増えている。
テレワークは育児や介護と仕事の両立をしやすくするといったメリットの反面、社内の人たちと顔を合わせる機会が減りコミュニケーションが低下するという懸念がある。
だからといって、会議や打ち合わせのたびに出社してもらうのは本人の負担が大きい。予算をかけない遠隔コミュニケーションの方法の1つに、法人向けWebカメラの導入がある。
ロジクールの「BRIO(ブリオ)」は手のひらサイズで、ノートPCやLCDスクリーン、デスク上に取り付けて利用する。コンパクトでありながら高機能カメラを搭載しており、4K(UltraHD)と5倍ズームで高精細な映像を実現する。赤外線ベースの顔認証アプリケーションによる本人認証も行えるので、外部から社内ネットワークにアクセスする際の“なりすまし”も防止する。
最近はSkypeのように無料で簡単にビデオ通話が行えるコンシューマー向けサービスを会社に無断で打ち合わせに利用しているケースもあるが、会社“非公認”のサービスはセキュリティやトラブル発生時の対応などの不安が拭いきれない。従業員の「シャドーIT」対策として法人向けWebカメラを導入する企業も多いという。
テレワークを導入している企業では、セキュリティ機能の充実した
法人向けWebカメラによる会議や打ち合わせが増えている
サテライトオフィスでも気兼ねなくビデオ会議テレワークでは自宅やサテライトオフィス、カフェなどが仕事をする場となる。
「これらの場所は周囲に気兼ねなく話をしたり、秘匿性のある情報を扱うことが難しく、テレビ会議や電話でコミュニケーションできないことがテレワーク導入の足かせとなっている」とブイキューブ代表取締役社長の間下直晃氏は指摘する。
同社はこの8月、「ビジネスパーソンが安心して働けるコミュニケーションスペース」をコンセプトにしたコミュニケーションブース「テレキューブ」の販売を開始した。
幅約1.1m×奥行き約1.1m×高さ約2.2m、重さ約296kgの公衆電話ボックスのような形状で、内部にはテーブルやイス、電源、USB給電口、換気機能などを備える。壁面にはレノボ・ジャパンの小型デスクトップPC「ThinkCentre M710q Tiny」とタッチ操作で利用する「TELECUBE App」が組み込まれ、それを通じてブイキューブのテレビ会議「V-CUBEミーティング」やSfB、H.323/SIPに準拠したハードウェア型テレビ会議システムと接続することができる。
ブイキューブの「テレキューブ」は、防音性の高いスペースで
テレビ会議や電話などのコミュニケーションが気兼ねなく行える
オフィスビルやサテライトオフィスへの設置のほか、施錠や監視カメラなどのセキュリティ機能を備えた一般向けモデルを公共施設や駅、空港などに展開する計画。防音性の高いスペースで遠隔会議を気兼ねなく行えるようにすることで、“テレワーク難民”を救済する狙いがある。