NTTと北海道大学は2025年4月7日、農業・漁業といった第一次産業のスマート化実現に向けた共同研究を実施することを発表した。
日本の第一次産業従事者は、従事者の高齢化と人口減少により担い手が減少しており、とりわけ農業分野では2050年に現在の4分の1まで就業人口が減少するとの試算がある。食料自給率を維持するには、品質を保ちながら生産性を1人あたり4倍に引き上げる必要がある。また、温室効果ガスの排出削減といった環境面の配慮も不可欠となっている。
こうした課題に対応するため、NTTと北海道大学はそれぞれが有する技術を融合し、「未来の一次産業モデル」の確立を目指す。大量のセンシングデータ、ディープラーニング、シミュレーション技術を活用し、超省力・高品質・サステナブルな生産の実現に取り組む。
NTTと北大が実現を目指す「未来の一次産業モデル」
研究開発の中核となるのは、センシングデータを可視化するデジタルツイン、デジタルツインの運用を支援するAI、シミュレーション結果をリアル空間で実現するロボティクス、そしてリアルタイム連携を可能にするIOWNといった要素技術群だ。北海道大学は第一次産業におけるロボティクスおよびデジタルツインに関する技術を、NTTはIOWNやAI、ネットワーク関連技術を主に提供し、研究開発を進める。
2025年度は農業分野を対象に、「高精度なデジタル圃場に基づく、生育と環境負荷の最適化を図る農作業シミュレーションの実現」と「現地での人の作業を不要とするロボット農機による自動運転・遠隔操縦の実現」の2つの研究テーマを設定している。
共同研究は4年間を予定。初年度は性能要件の整理とデータ収集、2年目以降はテスト環境の構築と検証を段階的に進めていくという。研究成果は2030年からの商用化を目指す。