エリクソンが”5G SA先進国”の成功例を紹介、日本の5G収益化にも意欲

2024年9月時点で、世界では60超の5G SAネットワークが商用稼働している。中でも大規模展開が進んでいるのが米中とインドだ。また、その他の国でもSAをベースにネットワークスライシングを駆使した5G収益化が加速している。エリクソン・ジャパンは2024年11月11日に開催した記者説明会で、それら先進国の事例を紹介。海外で得た知見を基に、国内の5G発展をサポートするための施策を発表した。

世界で商用稼働している5G SA(Stand Alone)ネットワークのうち、エリクソンが関わるのは半分以上の37に及ぶ。北米、欧州、アジア、そして南米やオセアニアまで5G SAは今や世界中で展開されているが、エリクソン・ジャパン 代表取締役社長 ソフトバンクグループ事業担当のジャワッド・マンスール氏は、「世界最速で大規模展開した」事例として、インドを挙げた。

5Gのカバレッジエリア(赤がNSA、緑がSA)

5Gのカバレッジエリア(赤がNSA、緑がSA)

エリクソンはインドにおいて、Reliance Jio Infocomm(Jio)とBharti Airtel(Airtel)という2つの通信事業者と提携し、5G SAネットワークを展開している。Jioは当初からSAで5Gネットワークを構築し、AirtelはNSAでスタートした後にSAへ移行。ともに現在では1億人前後の5G加入者を獲得し、Jioは約17億、Airtelは約12億もの5G基地局を展開している。

なぜ、インドで5G SAが高速展開できたのか

この大規模展開を可能にした要因が、Massive MIMOにあるとマンスール氏は話した。送受信アンテナの数を大幅に増やして、通信の安定化と高速化を実現する技術だ。

これにより、インド国内ではLTEのスループットが数十Mbpsであるのに対し、どちらの事業者も「5Gは200Mbps以上と、4Gの10倍のスピードになった」(同氏)ことで、5Gのカバレッジとユーザー獲得をスムーズに進められたという。

エリクソン・ジャパン 代表取締役社長のジャワッド・マンスール氏と野崎哲氏

エリクソン・ジャパン 代表取締役社長のジャワッド・マンスール氏(ソフトバンクグループ事業担当、左)と、野崎哲氏(戦略事業担当)

そのMassive MIMOを高速に全国展開できたのには、エリクソンならではの理由があると同氏は強調した。2010年代末の5Gローンチ当初は非常に大型で重量もかさんだMassive MIMO基地局を、段階的に小型・軽量化。独自開発の「エリクソン・シリコンを使うことで消費電力を抑え、サイズ・重量も削減できた」。

エリクソン Massive MIMOの進化

エリクソン Massive MIMOの進化

また、エリクソンは、サイトデザインから基地局の設置、電波発射までを迅速化する各種サービスも拡充。代表取締役社長 戦略事業担当の野崎哲氏によれば、通信事業者とエリクソン、施工業者でデータを共有したり、現場調査/作業を不要にするデジタルツインやゼロタッチインテグレーションを導入したりと「置局活動のデジタル化」を進めたことも、インドでの5G SA大規模展開に大きく貢献したという。

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