「光コア・メトロ網で使われている光波長ルーティングを、ネットワークのエッジであるアクセス網にまで広げることで、ネットワークのさらなる大容量・高品質化、省電力化が可能になる。これを実現するソリューションをいち早く提供し、通信事業者の事業機会の創出に貢献していきたい」
こう語るのは、リボン・コミュニケーションズ(以下リボン)でシステム技術部 部長を務める滝広眞利氏だ。
リボン・コミュニケーションズ システム技術部 部長の滝広眞利氏(右)と、
IPオプティカル営業本部 本部長の宮下泰彦氏
同社は、VoIP(Voice over IP)ソリューションを手掛けてきたソナスネットワークスとジェンバンドの合併により2017年に誕生したネットワークベンダーだ。2020年にIP/光伝送ソリューションを手掛けるECIテレコム(イスラエル)を買収して、光伝送市場に参入。通信キャリアのニーズに柔軟に対応できる製品・ソリューションを提供することで世界、そして日本の通信インフラ市場での存在感を強めてきた。
なかでも、コア・メトロ網からアクセス網までを広くカバーする“エンド・ツー・エンドの光波長ルーティングソリューション”は、リボンの注力分野の1つだ。
注目集めるコンパクトROADM 機能・サイズをエッジに最適化
光波長ルーティングをアクセス網まで拡大するために、リボンでは3つの分野で製品展開を進めている。その鍵となるのが、コンパクトROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)だ。
ROADMは光信号の追加や分岐などを行う装置で、長距離伝送のための光アンプ、波長分割多重(WDM)、波長の行き先(方路)を決める波長選択スイッチなどの機能を備える。通信事業者のメトロ・コア網に設置され、リング、メッシュ等の様々な構成の光ファイバー網で柔軟に光伝送路を設定することができる。障害時の経路変更も容易に行える。
コア・メトロ網向けの従来のROADMでは数十本もの光伝送路(方路)を設定できる能力を持ち、複数の光ファイバーを収容する。このように、主に大規模ネットワークの構築に利用されてきたが、アクセス回線を通じてユーザーを収容する多数の収容局とコア・メトロ網との間をつなぐアクセス網やアグリゲーション領域では、こうした高い処理能力よりも、限られた設置スペースと消費電力に適合するコンパクトなROADMが求められる。
こうしたニーズに応えるため開発されたのが、波長選択スイッチやアンプなどの機能をハーフサイズのネットワークカードに搭載したROADMモジュール「ROADM_4FS」だ(図表1)。
図表1 コンパクトROADM構成例1:3方路ROADM
このROADM_4FSを、2RUサイズの光伝送プラットフォーム「Apollo 9603」に実装(最大3枚)することで、まさにネットワークエッジに最適化された機能を持つROADM装置が実現できる。
滝広氏は「大手の通信事業者でもエッジには置き場がないと言われる。このコンパクトROADMはこうしたニーズにピッタリはまっている」と語る。
今年6月に幕張メッセで開催されたネットワーク技術イベントInterop Tokyo 2024の会場内ネットワークShowNetのバックボーンには、リボンが提供したApollo 9603/ROADM_4FSベースのROADMが用いられ、「小ささと取り扱いのしやすさで、注目を集めた」(滝広氏)という。