技術専門商社のコーンズテクノロジーは、「ワイヤレスジャパン×WTP 2024」でグループ企業とともに、電波計測・試験に関する製品を多数展示している。
コンパクトな5G対応測定器
コーンズテクノロジーの“イチ推し”は、米国VIAVI Solutions社の5Gネットワークテスタだ。5Gに用いられるミリ波は直進性が高く、またほかの電波の干渉を受けやすい。1m程度の違いでも電波の性質が変わってしまうため、きめ細かいテストが必要だ。ローカル5Gの広がりに伴い、テストのニーズも増えている。
VIAVIのテスタは、こうしたニーズに応える機能を満載している。「OneAdvisor 800」は、3.9kgの小型筐体とバッテリー駆動で、「測定器は重くて大変」という現場の悩みを解決する。9KHzから44GHzが測定でき、5G NRはもちろん、LTEや地域BWAにも対応する。
VIAVI Solutions社の5Gネットワークテスタ「OneAdvisor800」
5Gの計測で力を発揮するのが「5Gビームフォーミング解析」だ。ビームごとにPCI、RSRP、SINRなどをグラフ表示でき、5Gのビームが正しく放射されているか、基地局間の干渉がないかを解析できる。
時間軸で3次元波形解析を行う「リアルタイムスペクトラムアナライザー機能」も干渉波対策に有効だ。波形のログはリプレイも可能で、障害解析の強い味方となる。
インドア測定はスタジアムなど屋内施設でのローカル5G運用に役立つ。施設平面図上で電波強度を可視化でき、電波の状況をピンポイントに把握することが可能だ。また、Googleマップと連携したルートマップ作成機能は屋外での計測に魅力的だろう。図面タップによる屋内歩行調査機能も提供する。
自社開発の計測・試験機器も展示
関連会社のマイクロウェーブファクトリーは、計測機器を自社開発している。ブースに展示する「MMD08」は、700MHzから8GHzまでの周波数に対応した電界モニタリングデバイス。LTE通信、GPSにソーラーパネル、バッテリーを搭載し、24時間365日のモニタリングが可能だ。計測したデータはAWSなどのクラウドサーバーにアップロードされ、PCやモバイル端末で地図と重ね合わせるなどして常時確認できる。
電界モニタリングデバイス「MMD08」。先端がアンテナ、センサーで、ソーラーパネル下の箱にバッテリーを収納
さらに、電波の試験環境を国内生産するグループ企業・E&Cエンジニアリングは、アンテナ素子の特性を計測する「CATR計測システム」を展示。独自の誘導体レンズアンテナ(リフレクター)を用いることで、実環境では10mの距離を要するところ、幅160cmの本体での計測を可能にした。
CATR計測システム。中央の白い半球状の部品がリフレクター
対応周波数は18~110GHzで、ニーズの高い5G ミリ波や、レーダー用ミリ波(76GHz)を含んでいる。
リフレクターは樹脂製で、金属製に比べ大幅なコストダウンを実現。他社製品が5、6000万円のところ、1500万円程度の価格で提供できるという。また、本来リフレクターはシビアなポジショニングを必要とするが、同製品は「ある程度ラフに使っても結果が出る」(説明員)といい、データの再現性の高さも特長ということだ。
「電波のことなら何でも扱う」とコーンズテクノロジー社員。電波の悩みがあれば、ぜひ相談を持ちかけてほしい。