「ゲーム業界のDNA」持つCDN事業者Gcoreが日本進出、武器は最高水準の低遅延

ルクセンブルクのCDN事業者であるGcore(ジーコア)が日本市場へ本格進出する。同社は2014年にオンラインゲーム企業から分離独立し、ゲーム業界向けサービスで市場参入。同業界の厳しい要求に応える低遅延性や通信品質の安定性を武器に、約9年で世界に140超のPoPを展開するまでに成長した。昨今はエッジAI向け、そして5G eSIMサービスにも注力している。

「我々はゲーム業界のDNAを持っている」

日本市場への本格参入を機に、2023年6月20日に記者発表会を開催したGcore。同社の特徴を最もよく表すのが、Head of Global Allianceを務めるトーマシュ・ジェンバ氏のこの言葉だ。

GcoreでHead of Global Allianceを務めるトーマシュ・ジェンバ氏

GcoreでHead of Global Allianceを務めるトーマシュ・ジェンバ氏

オンラインゲーミングのユーザーは通信品質の安定性、特に低遅延性に関する要求レベルが非常に高い。しかも、数百万ものゲーマーが同時接続するなかでその品質を保たなければならない。

「そんな環境の中で我々のサービスは始まった」と同氏。現在はゲーム業界のみならず様々な産業界に顧客を抱えるが、この低遅延性やスケーラビリティに代表されるプラットフォームの品質の高さが最大の差別化ポイントだと強調した。

ネットワーク容量は110Tbps、平均遅延は30ms

Gcoreは創業から約9年で世界に140超のPoPを展開し、世界各国の通信事業者をはじめ1万1000のピアリングパートナーを持つまでに成長した。

Gcoreの事業概要

Gcoreの事業概要

各拠点を結ぶ基盤ネットワークの容量は110Tbps。国家間および都市間をつなぐトランスポートネットワークの増強に特に力を入れており、拠点間の平均遅延は30ミリ秒(ms)という。2024年度末までには「平均5ms」まで遅延を短縮すべくインフラを増強するという。

アジアには28のサービス拠点を構えており、2017年に東京、2020年には大阪にサービス拠点を設けて日本でもサービスを提供している。

Gcoreのグローバル/リージョナル拠点

Gcoreのグローバル/リージョナル拠点

そして今回、日本法人を設立して国内市場への本格参入を果たす。日本カントリーマネージャーに就任した磯村広紀氏は、「ユーザーとの距離を短くすることがレスポンス最短化のポイントであり、今後もGcoreのプラットフォームを拡張していく」と方針を説明した。

Gcoreは、CDNや動画配信以外にもIaaS/PaaSやオブジェクトストレージ、エッジAI、Webアプリケーションセキュリティなど幅広いサービスを揃える。これらを活かし、国内ではインテグレーター等とのパートナーシップにより事業を拡大していきたい考えだ。

日本カントリーマネージャーの磯村広紀氏

日本カントリーマネージャーの磯村広紀氏

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