ローカル5Gも有線LAN/Wi-Fiも同一ポリシーで
そして、シスコの特徴が最も色濃く出ているのが、運用管理の領域だ。ローカル5Gを、既存の企業ネットワークの一部として融合させることで、運用負荷をいたずらに増大させないための仕組みを充実させている。
ユーザーは、「統合ポータル」を通してRANからコアまでエンドツーエンドにローカル5Gシステムの運用管理を行えるほか、有線LAN/Wi-Fiで使っている端末IDとアクセスポリシー、セキュリティポリシーも一元的に管理が可能だ。接続している端末やネットワークの状態も下画面のように、ダッシュボードで簡単に確認できる。
Cisco Private 5Gのダッシュボード画面
リモートでの制御も、もちろん可能だ。例えば、特定のユーザーのデバイスを遮断したい場合、画面上で当該デバイスのSIMのステータスを変更すれば、利用を停止させることができる。ある端末がいつからいつまで接続し、どの程度のデータを消費したのかといった履歴も確認が可能。「ユーザー自身で手軽に使えるデバイス診断機能も備えている」(坪内氏)
有線LAN/Wi-Fi、ローカル5Gのポリシー共通化は、図表4のようなイメージで実現する。ネットワーク接続時には3GPPで規定されている認証方式と、RADIUS認証を併用。企業ネットワークで多く採用されているCisco Identity Services Engine (ISE)を使い、「ローカル5GでのアクセスもWi-Fiアクセスも同じIDで管理する。また、セキュリティサービス「Cisco Umbrella」についても、「ローカル5GでもWi-Fiでも同じようにセキュリティポリシーを適用できるように、現在開発を行っている」。
図表4 企業向け共通ポリシー アクセス&セキュリティ
シスコパートナー経由で販売、本社には5Gショーケースも
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シスコ パートナー事業 第2営業本部長 萩原有悟氏 |
こうした特徴を持つCisco Private 5Gは、シスコのパートナー経由で間もなく販売をスタートさせる。
ネットワーク設計・構築に精通したパートナーがSIを担当する。シスコシステムズ パートナー事業 第2営業本部長の萩原有悟氏は「RANスイッチ/サーバーのデリバリーから設計・構築、ローカル5Gシステムの運用に加えて、企業ネットワークとの連携、統合ポリシーの運用まで含めてパートナーとシスコが対応する」と語る。
ローカル5Gシステムの設計・構築、運用には無線免許の申請・取得が必要で、5G無線の運用についてもWi-Fiとは異なるノウハウ・技術が必要だ。ユーザーはもちろん、SIerにとっても新たなノウハウ・技術の習得が必要になる。
この点についても、「シスコとパートナーが協力して設計・保守サービスを提供する。また、免許取得サービス等をすでに行っているパートナーがあり、そのリソースとノウハウを活用して、お客様の負荷を軽減するサービスを提供していく」計画だ。
シスコ本社内「5Gショーケース」に設置されたローカル5Gのデモ環境
また、シスコは顧客企業やパートナー企業とともに5Gの活用法を創出するための拠点として、東京・六本木オフィスに「シスコ 5G ショーケース」を開設している。そこでは、本稿で紹介したCisco Private 5Gに加えて、ローカル5Gで活用できる各業界向けアプリケーションのデモを展示。デバイスの検証や5Gアプリケーションの開発・評価等が可能な環境を整え、産業領域での5G活用を多面的に支援していく。
Cisco Private 5G
シスコ5Gショーケース
シスコ5Gショーケースで利用可能なデモをブログで紹介
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