NTTが「2040年カーボンニュートラル宣言」、IOWNが排出削減に大きく貢献

2030年に温室効果ガスを80%削減(2013年度比)、2040年にカーボンニュートラルを実現する――。NTTが新たな環境エネルギービジョンを発表した。中でもドコモ単独では「2030年にカーボンニュートラル達成」を掲げる。5Gインフラを中心に再エネ利用を拡大。さらにIOWN導入などで、国が掲げる「2030年46%減」を大きく上回る削減目標の達成を目指す。

NTTとNTTドコモが2021年9月28日にオンライン記者会見を開き、新たな環境エネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」を発表した。

掲げる目標は高い。NTT 代表取締役社長の澤田純氏は2013年対比で「2030年に温室効果ガス排出量を80%削減。2040年にはNTTグループ全体でカーボンニュートラルを達成する」と述べた。

NTT代表取締役社長の澤田純氏
NTT代表取締役社長の澤田純氏

同社の試算では、NTTグループ全体での温室効果ガス排出量は「成り行きに任せた場合、2040年には2013年の約1.8倍に増える」。これを下図表のように削減していくために、大きく3つの取り組みを実施する計画だ。

カーボンニュートラル実現に向けた施策
カーボンニュートラル実現に向けた施策

1つは、これまでも続けてきた省エネの取り組みの継続。電力消費効率が高い設備の採用などで、温室効果ガス排出量の10%程度の削減を見込む。

2つめは、再生可能エネルギーの利用拡大だ。2020年時点の10億kWhを、2030年から2040年に70億kWhに拡大することで、温室効果ガスの排出量を45%削減できるとする。「2030年にはNTTグループの消費電力の80%を再生可能エネルギーで、そのうち半分を自社所有の電源で賄う」(澤田氏)。

なお、再生可能エネルギーには太陽光や地熱、洋上風力など様々な方法があるが、早い時期に効果を上げるため、「すでに実用化されているものを使う。主力は太陽光になるだろう」とした。

IOWN導入で消費電力は100分の1に
3つめは、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の導入である。現在のネットワークで実施している電気信号処理を光信号処理へと移行することで、大幅な省エネを実現。導入は2020年代半ば以降となるものの、その寄与幅は最も大きく、これにより排出量の45%削減を見込む。

IOWNの基本要素である「オールフォトニクス・ネットワーク」では、現在NTTが開発中の「光電融合技術」を用いて、通信網でデータを伝送する光信号を電気信号に変換することなく、エンドツーエンドで光信号のまま処理することを想定している。

これが実際のネットワークに適用されれば、「IOWN(技術を使う部分)そのものは電力量が100分の1くらいになる」とNTT 常務執行役員 研究企画部門長の川添雄彦氏は話した。「その比率をどこまで高められるかで、ネットワーク全体での削減効果が変わってくる」とし、できるだけ早期にIOWN技術の展開を進めていく方針を示した。

「2024年に光電融合デバイスの開発、2025年にネットワーク設備の開発が完了し、2026年頃から導入を開始する」(川添氏)見通しだという。

澤田氏は、このIOWNの普及・拡大に加えて、革新的なエネルギー技術の創出などにも取り組み、通信以外の多様な産業分野の環境負荷軽減にも貢献していく考え。「特に、エネルギーの地産地消に貢献したい」と説明した。

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