NTTコミュニケーションズは2017年4月11日、2017年度サービス戦略説明会を開催した。
NTTコミュニケーションズの庄司哲也社長 |
企業ではシステムのクラウド化が進んでいるが、ランニングコストが予想以上にかかったり、期待したほどのコストダウンを実現できず、一部のシステムをオンプレミスに戻す動きが見られるという。庄司哲也社長は「オールクラウド化が唯一無二の正解ではなく、システムの特徴やどのような要件を優先するかによって、クラウドとオンプレミスのハイブリッドな利用方法を考えるステージに入っている」と指摘した。
また、クラウドサービスは事業者によって性能や価格が異なり、多くの企業ではさまざまなクラウドサービスを選択し、APIで組み合わせる傾向にある。しかし、ハイブリッドなクラウド利用が進むことでシステム全体が複雑化し、セキュリティやマネージドサービスの重要性が高まっている。
こうした現状を踏まえ、今年度は企業のハイブリッドICT環境を最適化し、デジタルトランスフォーメーションに貢献する目的から、サービスについては①インフラストラクチャーの信頼・品質の向上、②SDx+Mの強化に重点的に取り組む。
このうちSDx+Mについては、SD-WAN、WD-LANに続き、3月からSD-Exchangeを開始したことでラインナップが揃った。併せて、Cloud Management PlatformやGlobal Management One、Wide AngleといったマネージドサービスもSDxに対応する。「すでに多くの引き合いをいただいている」(庄司社長)という。
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SDx+Mソリューションはすでに多くの引き合いがあるという |
SDx+Mソリューションの活用事例として、グローバルネットワークを最適化したケースも紹介された。
それによると、あるグローバル企業では基幹系ネットワークと情報系ネットワークを冗長構成により計4回線、世界約500拠点に配置していたため全体で2000回線に上り、ネットワーク機器の運用業務のアウトソースに年間10億円もかかっていたという。
そこでマネジメントや運用コストを見直す目的から、NTTコムのSoftwareDefined Network Serviceを採用。業務や拠点の重要度に応じてMPLSとインターネットを使い分け、ソフトウェア制御によりオーバーレイネットワークを構築した。これにより、回線数が75%減少し、年間コストも25%削減された。また、IT管理者はネットワークやシステムの状況を管理ポータル「Cloud Management Platform」で一元的に把握できるようになり、運用コストの削減や業務効率化を実現した。
セキュリティについては、昨今、DDoS攻撃の件数の増加とともに規模が拡大している。最近はIoTデバイスを踏み台にした攻撃も急増しているが、IoTデバイスは今後さらに拡大することが確実であり、攻撃が大規模化することが予想される。「企業の重要なサーバーを守ることは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本全体の課題でもある」(庄司社長)として、DDoS対策を強化する。
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DDoS対策では他の事業者との連携も予定 |
NTTコムは約10年前から、攻撃の挙動データを基に、独自開発したデータ分析基盤で攻撃パターンを解析している。この膨大なデータに裏付けされたDDoS対策サービスをさらに発展させ、他の事業者が提供しているDDoS対策と連携し、自らはオーケストレーターの役割を果たすことで大規模攻撃を分散・防御する「マルチDDoS対策サービス」の提供を予定しているという。