日立のIoT向けモバイル網技術――JR東日本などと新システム開発を進める

IoTではモバイル網のニーズが高いが、データ送受信の不確実性や大容量データの高速転送には向かないなどの制約がある。日立製作所はそれらの制約を克服する技術を強化しており、JR東日本などと共同で新システムの開発を進めている。

IoTを活用して経営課題を解決したい─。いま、企業の経営者はIoTに熱いまなざしを注いでいる。その期待に応えようとITベンダー各社はIoTプラットフォームの提供に乗り出している。

IoTプラットフォームは、センサーを利用したデータ収集からネットワークを通じたセンシングデータの送信、クラウドによるデータの蓄積・分析に至るプロセスを一括で提供する。その構成要素の中でモバイル網の役割に注目しているのが日立製作所だ。

インテリジェントゲートウェイでモバイル網の壁を越える「モバイル網を活用して、いままで見えなかったモノを見えるようにしたいというニーズが高まっている」。こう話すのは、日立製作所 情報・通信システム社の小泉一人氏だ。

日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 IoTビジネス
推進統括本部 IoTシステム本部 M2Mソリューション部 部長の小泉一人氏

無線通信を用いるモバイル網の普及が、有線では困難な農地や河川などのフィールドにおけるデータ収集を可能とした。その一方で、無線を使うモバイル網は外部環境の影響を受けやすく、データの送受信が不確実になりがちだ。送信できるデータ量も有線に比べて少ない。そこで、同社はモバイル網の壁を越える技術を提供してIoT事業の差別化を図っていきたいという。

その1つが、「M2Mトラフィックソリューション」と名付けたIoTプラットフォームで提供しているインテリジェントゲートウェイだ。

手のひらほどの大きさのモバイル型ゲートウェイ
(製品外観の仕様は今後変更になる可能性がある)

まず、このゲートウェイではM2M/IoT向けに開発された軽量プロトコルであるCoAPを採用した。その特徴は、データの送受に関する情報を記したヘッダーのサイズを軽量化していることにある。代表的な通信プロトコルであるHTTPのヘッダーサイズは140バイトであるのに対して、CoAPのヘッダーサイズは4バイトだ。それによってデータ転送の効率を向上させた。

また、データ送受信の不確実性という課題をクリアする技術も開発した。モバイル網に障害が起きると送信データの欠損が生じてしまう。欠損があればクラウドが検知し、センサーノード
に保存されているデータをクラウドからセンサーに取りに行く。

月刊テレコミュニケーション2016年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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