基幹ネットワークをWVS 2に更改し、BCPとセキュリティを強化TeleOfficeの導入は、新興サービスに大きな変化をもたらすことになったが、現在これとは別の改革も進んでいる。全国64拠点をつなぐネットワークの刷新だ。KDDIのイントラネットワークサービス「KDDI Wide Virtual Switch 2(WVS 2)」への切替作業が進行中だ。
同社は従来、インターネットVPNを活用していたが、管理本部 管理部 情報システム課 課長代理の中澤幸弘氏によると次の課題を抱えていたという。
「今まで各拠点は、本社を経由して基幹システムが稼働するデータセンターやインターネットに接続していました。このため本社に何かあると、全国の拠点で基幹システムやインターネットが利用できなくなる状況でした」
実際、年1回ある本社ビルの計画停電時は、全社的に基幹システムやインターネットが利用できなくなった。BCP(事業継続計画)を考えると、ネットワーク構成の変更は急務だったのである。
管理本部 管理部 情報システム課 課長代理 中澤幸弘氏 |
そこでWVS 2の導入を決定。本社を経由せず、WVS 2からデータセンターやインターネットに直接接続できる構成に変更した。ちなみに、WVS 2のインターネット接続は、東日本エリアで大規模災害などが発生して不通になると、自動的に西日本エリアからの接続に切り替わる。
新興サービスがWVS 2を導入したもう1つの理由は、セキュリティだ。「インターネットVPNよりも、閉域網であるWVS 2のほうがセキュリティが高いからです」(中澤氏)。
WVS 2は、網側のサービスとしてセキュリティアプライアンスの機能を提供しているのも特徴だが、新興サービスではこれも採用。WVS 2のUTM機能によって、ファイアウォールをはじめ、IPS/IDS、URLフィルタリングなどのセキュリティ対策を実現しており、インターネットの出入り口部分のセキュリティも今回強化できた。
2015年5月に始まったWVS 2への切替作業は、2016年3月末までに全拠点で完了する予定だが、中澤氏はすでに次のステップについても考えている。
「これまではiPadを基幹ネットワークには接続していませんでした。しかし、WVS 2への切替が完了したら、セキュリティをしっかり担保したうえで、iPadも基幹ネットワークに接続できるよう、KDDIさんと相談していきたいと思っています」
iPadからは現状、TeleOfficeやメール、グループウェアは利用できるものの、基幹システムや社内ファイルサーバーにはアクセスできない。WVS 2への移行に合わせて、iPadの利用範囲をいっそう拡大したい考えだ。
さらに、本社のPBXが更新時期を迎えたことをきっかけに、ユニファイドコミュニケーション(UC)の導入も検討している。
「ICTを仕事にしている我々にとって、ICTによる業務効率化は当然、非常に重要なテーマ。そこでUC導入によって、業務効率化を図れないかと思っています。当社の業務領域には、UCの運用保守も入っていますから、我々自身がUCを使うことにより、さらにお客さまに貢献できるとも考えています」と、福留氏はその狙いを語る。
TeleOfficeの次は、UCによる経営革新を目指すというわけだ。