ファーウェイがSDN/NFVで新技術開発――通信事業者のニーズに応えるクラウド化製品アーキテクチャ

通信事業者向けのSDN/NFVがいよいよ商用フェーズに入ってきた。大手通信インフラベンダーのファーウェイは、SDN/NFV分野での新技術の開発を進め、オープンソースのIT技術と通信技術、双方の強みを活かしビジネスの主導権を狙う。ファーウェイ・ジャパンの邵禹(シャオ・ユウ)氏に、同社のSDN/NFV戦略を尋ねた。

オープンソースと通信の標準を結び付ける――通信事業者がSDN/NFVが本格導入する上で、何が課題になると考えていますか。

シャオ 日本市場で課題になるのではないかと感じているのが、SDN/NFVの大規模な展開から生じる通信事業者の組織変革です。通信事業者のどの部署がSDN/NFVを主導的に取り組むのかが明確になっていません。建設部門、運用・保守部門、戦略チーム、研究開発部門などの中でどこが音頭を取るのか、これがはっきりしないと、なかなかNFV/SDN本来の力量発揮ができないのではないでしょうか。

もう1つ大きな課題にマルチベンダー環境への対応があります。SDN/NFVでは標準化が固まっていない分野もあって、それぞれのベンダーが自らの理念で製品をデザインする傾向が強い。となるとこれらをどうマッチングさせるかが大きな問題になります。加えてネットワークのインテグレーションを誰が行い、ベンダー間の利益配分をどうするのかも課題になると思います。

通信技術の標準とオープンソースのIT標準のバランスをどう取るかも、重要なテーマです。SDN/NFVの理念はITの分野から来たものが多く、標準化にもITのオープンソースモデルが導入されています。OpenStackはその典型です。考え方や手法が異なる、通信の標準とオープンソースの標準をうまく結び付ける必要があるのです。

――ファーウェイはOpenStackなどオープンソース規格の標準化活動にも積極的に参画していますね。

シャオ SDN/NFV関連の技術規格は、多くの標準化組織によって進められていますが、ファーウェイはそのほとんどに参加し、重要な役割を担っています。例えばOpenStackではゴールドメンバーになっていて、提案数でもナンバー2の実績を持っています。

ファーウェイが参画しているSDN/NFV関連の標準化組織
ファーウェイが参画しているSDN/NFV関連の標準化組織

3月にはSDNのコア技術の標準化を行うONF、キャリアグレードのオープンソースのSDN技術を推進するONOSとの協業も発表しました。

ファーウェイはこれらの活動を通じて、オープンソースと通信業界の標準化組織を結びつけ、市場が円滑に立ち上がるようにしていきたと考えています。業界を見渡しても、こうした役割を担える会社は多くはありません。ファーウェイはその1社として、業界の発展に貢献していきたいと考えているのです。

――SDN/NFVが通信事業者に本格的に普及するのはいつごろになると見ていますか。

シャオ 5Gが導入される2020年代初頭までに徐々に導入され、5Gが始まる時点で完全な形になるのではないでしょうか。5GではネットワークアーキテクチャそのものがSDN/NFVになるのです。

>>講演情報
11月26日に開催される通信・放送事業者/ISP・クラウド事業者向け専門イベント「次世代ネットワーク&サービスコンファレンス」に、ファーウェイ・ジャパンが登壇します。

『ネットワーク仮想化の現状と展望』
華為技術日本株式会社
ビジネス&ネットワークコンサルティング部
マネージング・プリンシパル
桜井 浩哲 氏

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