「“100年企業”を目指さないといけないと、日々取り組んでいますが、そのうえで大切なのがスピード。例えば営業現場でも意思決定の速さが求められるなど、これからの時代はスピードが非常に重視されます」
今年設立63年目を迎えたネオスの代表取締役社長を務める葛原塁氏はこう語る。
同社は、工業用化学薬品の製造・販売や、大型金属の表面処理事業を行う企業だ。自動車や半導体、航空・宇宙関連部品など、様々なモノづくりを長年にわたり支えてきた。
“100年企業”として、これからもモノづくりを支え続けていくためには何が必要か――。「加速度的に進化するICTのトレンドを効率的に取り込み、いかにスピード経営を実現していけるかがポイントの1つ」と葛原社長は考える。
そこで同社が導入したのが、企業向けクラウドサービス「Google Apps for Work」だった。KDDIが提案し、それ以前から導入していたKDDIのiPadとも組み合わせ、今年8月から活用し始めている。
ネオス 代表取締役社長 葛原塁氏 |
オンプレミス型グループウェアで抱えていた4つの課題ネオスがGoogle Appsを導入する直接的な契機となったのは、グループウェアの更改時期をちょうど迎えたことだった。同社は5年ごとにグループウェアの更改を行っている。
それまで利用していたのはLotus Notes/Dominoだ。社内にサーバーを立てて、10年にわたり使い続けていたが、次期グループウェアに関する検討が始まった昨年夏には、大きく4つの課題が浮上していた。
まずは、運用負荷の問題である。「OSやブラウザの更新のたびにNotesのアップデートが必要だったり、日々の運用の手間が課題となっていました」と情報システム室の大西祐児氏は話す。メールやスケジューラなど、業務に不可欠な機能を提供するのがグループウェアである。障害発生時には、迅速な復旧が求められるが、そのための体制を自社で保持することの難しさも実感していた。
2つめは、メール容量の問題だ。Notes時代、オンプレミスのメールサーバー上に用意していたメール容量は、1人当たり200MB。「このため、社員は頻繁に不要なメールを削除する必要がありました」
3つめはコストだ。「5年に一度とはいえ、ソフトウェアのライセンス費用やハードウェアのリプレース費用など、総額では結構な額になります。そのコストもどうにか抑えたいと考えていました」
そして、4つめの課題は、営業員など外出の多い社員を中心に活用していた110台のiPadの有効活用である。モバイルをいかに業務にうまく取り入れるかは、スピード経営を実現するためのカギの1つ。しかし、社内のサーバーで運用しており、社外からNotesにアクセスするには特別な仕組みがいる。このため、「メールとスケジューラはiPadから利用可能にしていましたが、他の機能は使えませんでした」と大西氏は語る。
これら4つの課題すべてを解決できる選択肢は何か。ネオスは必然的に、クラウド型グループウェアという選択肢に辿り着くことになる。