ここ数年、SDN(Software-Defined Network)は通信業界における最大の関心事の1つであり続けているが、このほど世界で初めて、SDNにより商用光ネットワークの仮想化を実現した通信事業者が現れた。
アジア太平洋地域を中心にビジネスを展開する大手通信事業者のPacnetだ。同社にソリューションを提供したインフィネラが2015年3月10日に発表した。
アジア太平洋地域の15都市を4万6000kmにわたる光ファイバーで接続するPacnetは、光ネットワークのSDN化をどのように実現したのか。インフィネラ・ジャパン カントリー・マネージャの秋元正義氏に話を聞いた。
SDNコントローラーの命令を光伝送装置が理解
インフィネラは、DWDMなどの光伝送装置を開発・提供するベンダーだ。国内の通信事業者では、KDDIやNTTコミュニケーションズが同社の光伝送装置を採用している。
光伝送装置ベンダーはファーウェイやシエナ、アルカテル・ルーセントなど複数あるが、外資ベンダーの参入が難しい中国市場を除くと、「われわれインフィネラが、世界で最も100Gのポートを世の中に出しているベンダーだ」と秋元氏は説明する。
中国市場を除いたロングホール向けDWDMの100Gポートベースでの売上数比較 |
Pacnetはインフィネラの光伝送装置を以前から利用しているが、今回、インフィネラのOpen Transport Switch(OTS)ソフトウェアを導入することで、光ネットワークを仮想化した。
インフィネラが昨年12月にリリースしたOTSソフトウェアは、同社の光伝送装置をSDNコントローラーから制御可能にするためのソフトウェアだ。「OTSソフトウェアが仲介することで、SDNコントローラーからの命令を光伝送装置が理解できるようになる」(秋元氏)。いわゆる抽象化レイヤの役割を果たすのがOTSソフトウェアである。
対応するSDNコントローラーについては、「OpenDaylightやBig Switch Networks、NECなど、ONF(Open Networking Foundation)準拠であれば、どのSDNコントローラーでも大丈夫」とのことだ。