「『Boxはクラウドストレージサービスですね』とよく言われるが、似て非なるものだ。間違ってはいないが、クラウドストレージはBoxのごく一部。Boxは、エンタープライズ・コンテンツ・コラボレーション(ECC)へと進化している」
2014年10月31日に開かれた記者説明会で、Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏は、「エンタープライズ版Dropbox」などと説明されることも多い同社サービスについて、このように語った。
単なる企業向けクラウドストレージではない。Boxは、コラボレーションプラットフォームだ――というのが同社の主張なわけだが、この日の会見ではBoxのECCへの進化を象徴する新しい取り組み「Box for Industries」が紹介された。
エンタープライズ・コンテンツ・コラボレーション(ECC)へと進化するBox |
小売、ヘルスケア、メディア業界固有の問題を解決
全世界24万社以上、大企業から中小企業まで様々な業種の企業に利用されているというBox。同社が「次のステップ」として取り組んでいるのが、今年9月に発表した業界向けソリューション、Box for Industriesだ。
Boxの最近の導入企業例 |
米Box COO(最高運用責任者)のダン・レヴィン氏は、「どこにいても、どんなデバイスからでも、情報やビジネスアプリにアクセスできるだけでは十分ではない。業界固有の問題を解決していくのが次のステップ。だからこそBox for Industriesを発表した」と語った。
現在のところ、Box for Industriesには3つの業界向けソリューションが揃っている。ヘルスケア業界向けの「Box for Healthcare」、流通小売業界向けの「Box for Retail」、メディア&エンターテイメント業界向けの「Box for Media & Entertainment」の3つで、これら業界のワークフローに合ったソリューションを提供する。
まずは小売、ヘルスケア、メディア&エンターテイメントの3業界向けに提供 |
例えば、Box for Retailでは、小売企業が有しているWebサイトなどのデジタル資産を、店員が接客時にiPad等で利活用するための機能などが搭載されているという。「実際、米国のある大手小売企業ではこれを活用し、リアル店舗の店員が特定商品の紹介をビデオで行っている。その結果、この商品の売上は4倍に伸びたそうだ」(レヴィン氏)
通常版のBoxとの機能的な違いだが、プラットフォームについては通常版と共通。そのうえに、カスタムのコンフィギュレーションやワークフロー、Boxあるいはパートナーが各業界向けに開発したアプリケーションが載ったのが、Box for Industriesとなる。
Boxは機械学習機能を備えた「Box Workflow」という製品を持っている。これを利用し、業界固有の様々なワークフローを自動で走らせることなどが可能になっているという。