千村 そうでしょうね。ユニファイドメッセージが登場したのは1990年代後半。弊社も1997年にユニファイドメッセージ機能を実装しましたが、当時、海外の展示会などに行くと、「コミュニケーションをユニファイドする」といった表現がすでに使われていたのを覚えています。その頃はまだ「ユニファイドコミュニケーション」という1つの名詞にはなっていませんでしたが。
IPTPC OKI代表の千村保文氏 |
――では、その後、誰かがユニファイドメッセージと同じように、「ユニファイドコミュニケーション」と1つの名詞として使い出したのですね。
千村 最初に使われ始めたのは、おそらく2000年前後のことでしょう。
ところで、2000年ごろに私は講演で、インテグレーションとコンバージェンス、ユニファイドは何が違うのか――ということを話したことがあります。
この3つの単語はいずれも日本語にすると「統合」や「融合」といった意味ですが、インテグレーションは足し算なのですね。AとBを足すのがインテグレーションです。次のコンバージェンスは、AとBが寄ってきて、1つになるわけではないけど、収斂していくという感じです。
一方、1を意味する接頭辞「uni」が付いているユニファイドは、「1個化する」「唯一化する」という意味です。
――「統合」や「融合」と訳すと同じに聞こえますが、インテグレーションやコンバージェンスとは異なる意味合いがUCの「ユニファイド」には込められているのですね。
竹井 コミュニケーションを統合するネットワーク屋さんのVoIP技術と、業務アプリケーションを開発するIT屋さんのソリューション的な発想が融合して、イノベーションを起こしたのだと思います。「例えばWebという非常に便利なテクノロジーを使えば、何でも一緒にまとめられる」と。このような考え方がおそらくUCの1つのスタートポイントになっていると思います。
千村 そうですね。「マッシュアップ」という言葉もありますが、何でも混ぜてしまおうと。
――マッシュアップはWeb2.0を象徴する言葉の1つですが、SNSなどWeb2.0的なコミュニケーションツールの統合も最近のUCでは進展しています。次回は企業コミュニケーションの変遷を辿りながら、UCの実像についてさらに見ていきたいと思います。
[第2回]進化する企業コミュニケーション――「端末と端末」ではなく、「人と人」をつなぐUCへ
[第3回]UCはどこから着手すればいい? 費用はいくらかかる?
[第4回]広がる「日本型ユニファイドコミュニケーション」とは?