プライベートイベント「vForum 2013」を開催中のヴイエムウェアは2013年11月6日、都内で記者会見を開催。そのなかで、NTTコミュニケーションズが同社のネットワーク仮想化製品「VMware NSX」を採用したと発表した。さらに、ニフティと関電システムソリューションズもVMware NSXの検証を実施中であることが明らかにされた。
(左から)米VMware ネットワーク担当CTOのマーティン・カサド氏、ニフティ クラウド本部クラウド事業部長の上野貴也氏、米VMware CEOのパット・ゲルシンガー氏、NTTコミュニケーションズ クラウドサービス部長の田中基夫氏、関電システムソリューションズ ITサービス事業本部ITサービスインフラ構築部部長の角野俊朗氏 |
2つのクラウドサービスにNSXを採用したNTTコム
NTTコミュニケーションズは、「Bizホスティング Enterprise Cloud(BHEC)」と「Bizホスティング Cloudn」の2つのクラウドサービスに、VMware NSXを採用している。
BHECでは、既存のオンプレミス環境のシステムをIPアドレスを変更せずにクラウドにマイグレーションできる「オンプレミス接続サービス」を、VMware NSXで実現している。「(こうしたマイグレーションサービスを実現する場合)通常なら専用線を張ってくださいとお願いするわけだが、物理的なネットワークは何でもいい。インターネットであれば、そこにNSXを使ってセキュアなトンネルを作り、お客様のデータなどをクラウドに移行することができる。IPアドレスの再設定等をしなくても、クラウドとオンプレミスの環境がつながってしまう」とNTTコム クラウドサービス部長の田中基夫氏はオンプレミス接続サービスの利点を説明した。
VMware NSXにより実現されているクラウドマイグレーション |
また、Cloudnは、VMware NSXにより、「物理的な制約を完全に超えて、いろいろなネットワーク空間を作り出すことができるサービス」になっているという。「お客様がCloudnを100倍、1000倍使いたいというと、物理的にはポッドを増やしていくわけだが、お客様からするとあたかも1つのネットワーク空間でお使いいただける非常に優れた機能をNSXは持っている」と田中氏は話した。
IaaSのCloudnにもVMware NSXを採用 |
ニフティがネットワーク仮想化に期待する3つのこと
VMware NSXを検証中のニフティ クラウド本部クラウド事業部長の上野貴也氏は、その理由について次の3点を挙げた。
ニフティのネットワーク仮想化への3つの期待 |
1点目は利用効率である。「どうしても従来のネットワーク機器には、VLANやMACアドレスの上限など、制約条件がいろいろある。一番理想的なのはフラットなコンピューティング環境だが、このためリソースプールが分割されてしまう。今のリソースプールの規模を3倍にすると、我々のインフラの原価、つまりコストは30%以上削減することができる」。リソースプールをさらに大きくするための手段としてVMware NSXに期待したという。
2点目はスケーラブルな運用だ。「テクノロジーが進化し、サーバー機器やストレージ機器はどんどんスケーラブルになってきた。しかし、運用面においては、なかなかスケールしない。規模の拡大に応じて運用人員を増やさないといけない課題などがある。特にネットワークについては、この点が遅れている。そこでNSXによってネットワークを集中コントロールするということを実現したいと考えている」
3点目は、外部との接続性だ。ここでいう外部とは、顧客のオンプレミス環境などのこと。「パブリッククラウドだけでシステムを構築することは最近少なくなっている。特に大規模な事例では、半分以上がハイブリッドクラウドだ」。このため、顧客のネットワークとニフティのパブリッククラウドをよりシームレスにつないでいく必要が出てきているという。「IPアドレスを変更せずにオンプレミスの一部をクラウドに移行したいなど、お客様からの要望に細やかに応えていくうえで、SDNは非常に効果が高いと期待している」と上野氏は語った。