2025年7月24日、「能登HAPSパートナープログラム」の第2回ミーティングが開催された。
同プログラムは、NTTドコモとNTTドコモビジネスが石川県と連携し、HAPS(成層圏通信プラットフォーム:High Altitude Platform Station)を能登地域の復興に活用することを見据え、今年3月に立ち上げたもの(参考記事)。現在、行政や観光事業者、地場産業事業者など、多様な分野から60団体が参画している。2028年度以降に予定される石川県でのHAPS商用飛行に向けて、パートナー団体と連携しながらビジネスモデルやソリューションの検討、実証実験を進めていく。
能登の取り組みを日本のモデルケースに
NTTドコモビジネス 代表取締役副社長の大土拓氏は、HAPSを災害時の通信の確保や、センシングによる被災状況の把握に加え、平時には携帯電話の圏外地域での通信手段や、インフラの点検に活用していく考えを述べた。「(高齢化が進む)能登は日本の象徴的な街の1つ。(能登の取り組みを)日本全体で抱えている地域の課題を解決するためのモデルとしたい」と展望を語った。
NTTドコモビジネス 代表取締役副社長の大土拓氏
HAPSを被災者情報一元管理に活用へ 珠洲市
今回の会合ではHAPSのユースケースを探るため、パートナー団体による現状や課題の共有が行われた。
石川県珠洲市は能登半島の最先端に位置し、地震被害に加え、2024年9年の豪雨被害も甚大だった。副市長の金田直之氏は、条件不利地域での復興には様々な困難があったなか、孤立集落が多く生じ、被災者の情報が不足していたことが特に深刻だったと振り返った。
そこで珠洲市は石川県と連携し、被災者情報の一元管理システムを導入。また、災害時の通信強靭化を目的に、ドコモビジネスとKDDIの協力の下、Starlinkと蓄電池の配備、避難所管理システムの整備といった取り組みを進めている(参考記事)。
加えて金子氏は、「HAPS実証実験にも大きな期待をしている」と述べた。過疎・高齢化率が高く、山間・海岸部が混在する災害リスクが高い地域を抱える同市において、HAPSは有望な通信手段となり得る。