2011年~2016年にかけて日本国内のユニファイドコミュニケーション(UC)/コラボレーション市場は平均3.3%で拡大し、2016年に約2235億円の規模になる――。
これはIDC Japanが2012年11月に発表した予測だ。UC/コラボレーション市場の成長率は、同期間における国内IT市場全体の成長率として同社が予測する1.0%を大きく上回る。
背景にあるのはスマートフォンやタブレット端末に代表されるモバイルデバイスの普及だ。UCプラットフォームは、多様なデバイスで同様のユーザーエクスペリエンス(操作感)を実現したり、業務アプリケーションとの連携機能を強化するなどして、より使いやすく進化し始めている。
ここでは最近登場したばかりの2つのUC製品、NECの「UNIVERGE 3C」と日本マイクロソフトの「Microsoft Lync 2013」を紹介する。
コンセプトは“人中心”
コミュニケーションツールは、電話中心からUC中心へと移行しつつある――。その認識のもと、NECが満を持して2013年1月に販売を開始したのがUNIVERGE 3Cだ。同社はこれまで、SIPサーバー「UNIVERGE SVシリーズ」や、2009年に国内出荷を始めたUCミドルウェア製品「UNIVERGE Sphericall」などでUC導入ニーズに応えてきた。そうした取り組みを進めるなかでも、企業のコミュニケーション環境は大きく変わった。
変化をもたらしたのはスマートフォンとタブレット端末だ。モバイル端末の普及によるコミュニケーション環境の激変を踏まえ、「ユーザーセントリックな考え方を軸に据えて新たなUC製品の開発を進めた」とUNIVERGEサポートセンター・マネージャーの嶋田健久氏は話す。
“人が中心”という考え方は、場所や端末に依存しないコミュニケーション環境によりビジネスを効率的に進めたいというニーズに応えるためだ。
NEC「UNIVERGE 3C」のAndroidスマートフォン用モバイルクライアント |
UNIVERGE 3Cの特徴は3つに集約できる。第1は、汎用サーバーで稼働するソフトスイッチであること。これにより、オンプレミス環境でもクラウド環境でも利用可能にした。第2に、音声通話、インスタントメッセージング(IM)/プレゼンス、ビデオ等、多様なコミュニケーションツールを1つのプラットフォームに集約、統合した。
そして第3の特徴が、ユーザーセントリックなコミュニケーションを実現していることだ。具体的には、コミュニケーションを交わしたい相手の状態や利用するデバイスに合わせて最適なコミュニケーションツールを提供する。ノートPCやスマートフォン/タブレット端末など多様な端末向けにクライアントを用意している。一貫した操作性で利用できるようにしたうえで、コミュニケーション相手の状態はプレゼンスで確認しながら、最適なツールを選択できる。