SPECIAL TOPIC「AI活用への旅」にシスコが道標を示す モデル作成・最適化から推論まで支える

AIは2030年までに15.7兆ドルを超える市場効果をもたらすとの予測もある。世界を変えるほどの大きな可能性を秘めており、多くの企業が、この先AI活用は避けられないと判断している。だが、どこまで準備ができているかとなると、まだ心許ない状況だ。AI活用への道のり“AI journey”を始めるには、どのような備えが求められるのだろうか。

「検証済みデザイン」で安心導入 調達の手間省く垂直統合型も

ただし、AIインフラは1社で実現できるものではない。ストレージや仮想化基盤、アプリケーションや開発環境に至るまで、多様なコンポーネントを組み合わせる必要がある。このときについて回るのが、「その組み合わせはちゃんと動くのか」という不安だ。

シスコはこれを払拭するため、様々な企業とのパートナーシップに基づき、動作が確認された組み合わせを「シスコ検証済みデザイン」(CVD)として公開している。AIモデルの作成、最適化、推論の3つの環境向けに、すでに約20種類のCVDをWeb上で公開。「お客様が試行錯誤しなくても確実に導入できるようにして、検証・準備期間を短縮し、導入にまつわるリスクを低減します」(鈴木氏)

さらに、調達・導入の手間を省き、簡素化するために用意しているのが、プリセットされたオールインワンインフラ「Cisco AI PODs」(図表1)だ。NVIDIA GPUを搭載したCisco UCSとCisco Nexusスイッチに、Pure StorageやNetAppのストレージ、さらにOpenShiftやNVIDIAのAIツールを組み合わせて1つのユニットとして提供する。いわゆる「垂直統合型」システムだ。

図表1 AIインフラに必要な要素を一つのユニットとして提供する「Cisco AI PODs」

図表1 AIインフラに必要な要素を一つのユニットとして提供する「Cisco AI PODs」

そして、シスコのサポートはまだ終わらない。鈴木氏は「導入までのプロセスがシンプルになっても、お客様特有の要件に合致したインフラを提供できなければ意味がありません。例えば、同じ規模の企業でも、推論環境を使うのが1000名なのか1万人なのか、言語モデルに何を使い、どの程度のレスポンスタイムを期待するのかは異なります」と、デザインの難しさを指摘する。

そこで、自社が必要としているAI環境や利用形態を入力すると、GPUをはじめとする推奨環境を提示する「AIアドバイザー」を提供し、サイジングまで含めて支援している。

現在は、プルダウンで必要な情報を入力する形式だが、近々ここにも生成AIを活用し、まるで専門家によるコンサルティングを受けるのと同じように自然言語で問い合わせを行えるようにしていく。

NVIDIAとの連携をさらに強化 「シスコが初」の取り組みも

シスコはかねがね、単なる販売面での協力関係に留まらず、ソリューション開発まで踏み込んだパートナーシップを展開してきたが、中でもAI市場で重要な役割を果たすNVIDIAとの関係をさらに進化させている(図表2)。

図表2 AIインフラをセキュリティファーストで実現する「Cisco Secure AI Factory with NVIDIA」

図表2 AIインフラをセキュリティファーストで実現する「Cisco Secure AI Factory with NVIDIA」

NVIDIAは「AIファクトリー」の実現を目指して、シスコのCVDと同様、検証済みの構成をリファレンスアーキテクチャとして定義している。今回の提携強化では、多くのユーザーが拠り所としているこれに、サードパーティとして初めてシスコのソリューションが組み込まれた。Silicon OneベースのNexus 9000シリーズとシスコ製のOpticsやOS等が組み込まれる。

同時に、NVIDIAのSpectrumシリコンとシスコのOSを組み合わせたシステムを提供することも発表されている。「我々にはお客様が何をしたいのか、そのために最適な基盤は何かを考えて提供するDNAがあり、過去にもパートナーが提供するASICをNexusに搭載してきました」と鈴木氏。今回の提携も、その延長線上にある。

シスコはこうした取り組みに加えて、買収したRobust Intelligenceの技術をベースにAIの悪用などを防ぐ「Cisco AI Defense」や他のセキュリティ製品を組み合わせ、セキュリティとセーフティを確立した「Cisco Secure AI Factory」ソリューションも展開していく。「もし、学習したモデルに脆弱性が存在したり、セキュリティが担保されていなければ、事業展開に二の足を踏んでしまうかもしれません。AIに『セキュリティファースト』の概念を組み込むのは、我々にしかできないことだと考えています」と鈴木氏は述べる。

垂直統合型もモジュラー型も幅広い選択肢を用意するシスコはこのように、今後、AI活用を本格化させる際に不可欠なセキュリティへの手当にも抜かりはない。AI市場の中心に位置するNVIDIAとの結びつきも強め、「AIの民主化と保護」を実現していく。

<お問い合わせ先(導入をご検討中の方向け)>
シスコシステムズ合同会社
TEL:0120-092-255

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