携帯電話基地局のインフラシェアリング事業を手掛けるJTOWERは2025年6月6日、2025年度の戦略発表会を開催した。
同社は2025年1月、米国の投資会社であるDigitalBridgeの傘下に入り、株式を非公開化。潤沢な資金源を得て、市場シェア拡大に向けた投資を進める方針を明らかにしていた(参考記事:JTOWER田中社長「ファンド傘下入りで成長へ積極投資」、インフラシェア拡大の目標は“不変”|BUSINESS NETWORK)。
JTOWER代表取締役社長の田中敦史氏
発表会冒頭、JTOWER代表取締役社長の田中敦史氏は、2025年3月末時点での国内実績を紹介。屋内インフラシェアリング導入済み物件が680件、屋外のタワーシェアリングが7362本に達している。売上高は2025年3月期に158億円を記録し、順調に進展しているとした。
こうしたビジネスをさらに伸張させるため、田中氏は2件の発表を行った。
国内初・オープンRAN対応5G共用無線機開発 今年度導入開始へ
1つは、国内初となるオープンRAN対応の5G共用無線機の開発完了である。従来、屋内での5G装置のシェアリングは中継装置とアンテナで行われており、基地局設備(無線機、RU)は各社が設置する必要があった。今回、JTOWERはSub6帯域に対応するRU部分を新たに開発。田中氏は「これを導入すると建物内はJTOWERだけの設備で完結する」と話し、装置・工事費用および個社の設置スペースが不要になるほか、消費電力が7割削減できるという。「導入に向けて各キャリアと具体的に話を進めている。できれば今年度から導入を開始したい」と意気込みを表した。
JTOWERが開発した装置類。左が今回開発したオープンRAN対応の5G共用無線機
オープンRAN対応共用無線機は今年度中の導入を目指す
JTOWERの屋内シェアリングのテナンシーレシオ(1設備あたりの平均利用キャリア数)は2025年3月に「3.0」に到達。田中氏は「グローバルでも3を達成している事業者はあまりいない」とし、同共用機の導入によりテナンシーレシオのさらなる上昇が期待される。