無線通信のさらなる高速化・大容量化を実現するため、NTTドコモはミリ波帯(28GHz帯)やサブテラヘルツ帯(100GHz~300GHz)の研究開発に取り組んでいる。ただ、これらの高周波数は直進性が高く、遮蔽物が存在する環境では電波特性が劣化するという弱点がある。
NTTドコモは、「誘電体導波路」によってこの問題を解決しようとしている。誘電体導波路とは、ケーブルをつまんだ箇所から電波が放射される技術で、その周囲をエリア化することができる。
同社は、サブテラヘルツ帯に対応した誘電体導波路と誘電体小片を試作し、実証実験に成功。ミリ波についても実験試験局免許を取得し、実証に取り組んでいくという。
高周波数帯におけるフレキシブルエリア構築技術
また、サブテラヘルツ帯の伝搬特性を解明するための技術も展示。具体的には、12GHz幅の超広帯域信号を活用した、電波の遅延時間や到来方向などを解析する「チャネルサウンダ」を構築。これにより、6Gによる超高速・大容量通信実現を目指すという。
サブテラヘルツ帯広帯域チャネルサウンダ
水中ドローンやHAPS関連技術も展示
「空、海、そして宇宙へのエリア拡大」をテーマにした展示も行っている。具体的には、海底通信ケーブルの点検作業を効率化する「水中ドローン」だ。
海底通信ケーブルのメンテナンス作業は、ダイバーなどによる人手作業が中心だが、安全面・効率面で課題がある。そこでNTTドコモは、1Mbps伝送を可能にする海中音響通信技術と無線水中ドローンを開発。これにより、海底通信ケーブルの保守業務を効率化できるようになるという。
海中音響通信技術と無線水中ドローンの概要
HAPS(High Altitude Platform Station)の研究開発も行っている。HAPSは成層圏(約上空20km)を飛行するため、エリア化が困難な離島や山間部などでも、スマホとの直接通信が可能となる。
HAPSの実用化に向け、HAPSによる成層圏からの通信カバレッジ提供を模擬した「HAPSシミュレータ」を開発。今後は実証実験を通じ、地上商用5G網と周波数共用する場合の干渉回避技術や降雨補償技術などの有効性を評価していくという。
HAPSシミュレータの概要
そのほか、製造現場での5G活用に向けた取り組みや、点群データを活用した5G/6Gシミュレータなど、5G Evolution/6G実現に向けた研究開発の現状を知ることができる。