大型IPセントレックスを導入した山梨県北杜市――運用5年で実証された管理・通信コスト削減効果

2004年に7町村の合併で誕生した北杜市。運用管理の効率化、情報伝達の向上等を目的として整備されたIPセントレックスシステムは現在、どのような効果を上げているのだろうか。

山梨県の北西部、八ヶ岳連峰や甲斐駒ケ岳から連なる南アルプスなどに囲まれた北杜市は2004年11月、7町村の合併により誕生した。06年3月には小淵沢町と再合併。現在約5万人が暮らしている。

600平方キロを超える広大な土地は、その大部分を山林が占める。市名に刻まれた「杜」の字からも想像される通り、雄大な自然こそが北杜市の最大の資源。これに立脚した「環境創造都市」の実現が、市政の基本コンセプトである。下写真の太陽光発電も、その産業振興策の1つ。日本一長い日照時間という特徴を活かし、新たな産業を育成している。

太陽光発電システム
NEDO技術開発機構から委託を受け、2000kW級の太陽光発電システムを構築。大規模太陽光発電システムの普及拡大に向けた実証研究に取り組んでいる

コンセプトは「センター集約」

5年前、合併協議会は新市の電算システムと電話システムを構築した。企画部情報政策課の菊原忍課長は、その目的を、次のように語る。

「面積が広大で山間部に存する居住区も多い新市の環境において、本庁舎と各施設の連絡効率を高め、地域による偏りのない住民サービスを提供する基盤作りを目指した」

これを受け、エーティーエルシステムズ(甲府市)がシステム設計を担当。同社取締役・ソリューションサービス事業部の渡辺生也部長が語る「電算系・電話系のネットワークを統合し、機能を本庁舎へ集約。運用管理も一元化して効率化する」というコンセプトに基づき、システム構築が開始された。120を超える支所・出先施設を結ぶ光ファイバー幹線ループ網を敷設。電話システムにはIPセントレックスを採用し、本庁舎に設置したNECのIP-PBX「UNIVERGE APEX7600i」が全施設の電話設備(IP多機能電話機:約500台、構内PHS端末:約200台)を制御する形態とした。

電話番号体系は、本庁舎を入口に各支所までをダイヤルイン方式とし、部・課の編成に合わせて番号を整備。回線の集約、拠点間の内線化によって通信コストの削減を狙った。

当時はもちろん現在においても「フルIP電話システムの大型案件」と評することができる本事例。運用開始後5年を経て、どのような効果を上げているのか検証していこう。

月刊テレコミュニケーション2009年10月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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