4.2.7 ステアリングコミッティへの提案・採択そして方針変更
半年間の検討を経て、X-NEXT活動としての「Nextiのグループ展開」は、2008年10月のステアリングコミッティで実行が承認されました(図4-7参照)。
図4-7 ステアリングコミッティからの承認書 |
そして、オープンソース化に伴う費用も見積もりました。ところが、いよいよ必要なものを調達するという段階になって、突然「既存のNextiを丸ごとグループワイドネットに移設する」というやり方に変更しました。
なぜ土壇場になって、それまでの検討結果を捨て去ってまで方針を転換したのでしょうか。その理由は、ある検討メンバーが主張した「ユーザーの継続性」でした。「SNSが盛り上がるかどうかはユーザー母数に依存するところがとても大きい。既存のNextiのこの母数を活かさないのは明らかに誤っているのではないか」というものです。もちろん、その議論は既に終えており、「既存ユーザーは新しい機能が付いている新しいSNSに移行してくれる」と結論づけていました。しかし、この主張により再び激しい議論が巻き起こり、メンバーの意見は真っ二つに割れました。
最終的に意思決定の指針となったのは、Nexti成功の要因のひとつである「small start. small win.」の考えでした。――「グループ展開」と「オープンソース化に伴う機能追加」の両方を追うのではなく、今回はまず「グループ展開」を優先させる。そのために必要なことのみをする。――この新しい方針の下、Nextiをそのままグループワイドネットに移設することにしました。機能の追加については、移設に必要なカスタマイズをいくつか施すだけに留めました。
しかし、ひとつ大きな課題が残っていました。「情報種別」です。元々、NTTデータの社外秘を前提に書かれたコンテンツをそのままグループ会社に開示することはできません。かと言って、過去のデータ全ての情報種別を確認するのも現実的とは言えません。
情報種別の課題を解決したのは、グループ会社の要望から追加することを決めていた「社外秘機能」です。いったんNextiの全コンテンツを「NTTデータ社外秘」に設定し、後はユーザーの判断により、グループ会社の人と共有しても良いコンテンツのみ「社外秘」の設定を外してもらいます。この運用方法で課題をクリアできる見通しが立ちました。
その後は、方針が大きくぶれることはなく、Beat Communications社との仕様の詰めや、修正されたモジュールのテスト、Nextiを使えるようにするための申し込み手順など、様々なタスクをこなしていきました。
4.2.8 グループ会社が次々と参加
Nextiのグループワイドネットへの移設は、X-NEXTで採択されてからちょうど半年後の2009年4月中旬に実施されました。その後、ともに検討していたNTTデータ東海とNTTデータ先端技術のメンバーをトライアルとしてNextiに招待し、しばらく使ってもらいながら、動作を確認したり、社外秘情報を開示したりという作業を進めていきました。トライアル開始の噂を聞きつけたグループ会社の中には、トライアルに参加させてほしいと要望する会社もありましたので、それらの会社のメンバーも加えてしばらくトライアルを続けました。
NextiをNTTデータの社内SNSとして立ち上げた際には、特に周知することなくクチコミで広めていきました。グループ会社への展開においても、同じやり方を貫くことにしました。理由は、グループ会社内でNextiの窓口になってくれるという意思のあるメンバーを確実に確保するためです。「会社間を超えてNextiについて問い合わせしてくる人は、モチベーションも高く窓口になってくれる可能性も高いのではないか」と考え、このような運用方法にしました。
トライアルを開始して2ヶ月半が経過した2009年7月、NTTデータ東海が社内のコンセンサスを得てNextiに正式に参加しました。その後もNTTデータ先端技術、NTTデータアイ・・・続々と加わり、2009年12月現在で9社が正式参加しています。