富士通は2022年9月5日、IP-PBXシステム「Fujitsu テレフォニーソリューション ソフトウェアPBX」の提供を開始した。
これは、汎用サーバー上で稼働するソフトウェアPBX製品だ。国内の大手PBXベンダーが、ハードウェア一体型ではないソフトウェアPBXを本格発売するのは今回が初となる。
昨今PBXでもクラウドサービス化は進んでおり、富士通もクラウドPBX「クラウドトーク EX」を提供しているが、サービス型ではなく、オンプレミスで導入したいというニーズに応える。ハードウェア一体型との比較では、既存の汎用サーバーやAWS等のクラウドにも搭載可能など、柔軟なシステム構成がとれることがメリットだ。
ハイブリッドワークで求められる電話機能を強化
機能面では、スマホ内線機能の強化がまず特徴だ。同社のハードウェア一体型IP-PBX「LEGEND-V」シリーズのスマホ内線機能は、Wi-Fi環境のみへの対応だった。これに対し、ソフトウェアPBXはVoLTEに対応し、自宅などオフィス外においてもスマホを内線化できるようになった。
専用アプリをインストールすることで、スマホでオフィスの外線代表電話を受けたり、電話取次などを行うことができる。
スマホ内線機能が強化された富士通のソフトウェアPBX
「コロナがだいぶ落ち着いたとしても、従来の出社型の働き方に完全に戻るとは考えられない。これからの働き方はハイブリッドワークだ。どこにいてもお客様への対応や、社員間の通話が行える電話システムがハイブリッドワークでは求められている」と富士通 インフラストラクチャシステム事業本部 エンタープライズネットワーク事業部 テレフォニー企画部 部長の安藤真菜氏は話す。
PBX機能については、基本的にLEGEND-Vと同等の機能を備えているという。
設定変更についても、ハイブリッドワークを意識して利便性を向上させた。エンドユーザー自身がブラウザを使って、固定電話機の転送先やピックアップグループを簡単に設定することが可能だ。例えば、その日の働く場所に合わせて、従業員が自分で内線設定を変更できる。
また今後、ソフトウェアPBXとMicrosoft Teamsとの連携機能の提供を予定するほか、ナースコールなどの業務システムとの連携にも力を入れていく方針だという。
ソフトウェアPBXと業務システムの連携にも注力していく予定
LEGEND-Vシリーズのユーザーは、固定電話機やPHSなどの既存設備を活かしながら、ソフトウェアPBXへ段階的に移行できる。クライアントの最大収容数は2万(多機能固定電話機は最大6400)。
富士通は2025年度までに2400社へのソフトウェアPBXの導入を目指している。