NTTドコモは2020年8月25日、「5Gネットワークの展開戦略」と題した説明会をオンラインで開催した。
ドコモは5G向けの周波数として、3.7/4.5GHz帯の200MHz幅と28GHz帯の400MHz幅を割り当てられている。「4G以前と比べて広い帯域が使えるため、高速・大容量を実現することができる」とネットワーク部 技術企画担当部長の中南直樹氏は語った。
5Gではより広い帯域を使うことで高速・大容量を実現する |
ドコモは5Gのエリア展開に積極的に取り組んでおり、2020年6月末時点で47都道府県に5G基地局を設置した。2021年3月末には全政令指定都市を含む500都市に拡大し、同年6月末には1万局、2022年3月末には2万局を整備する計画だ。基盤展開率(日本全土を10km四方の領域に区切り、無人地帯などを除いた約4500区画のうちサービス提供の中核となる基地局を置いた区画の割合)は、2023年度中に97.0%を目指している。
2022年3月末には2万局の5G基地局を設置する計画だ |
「なんちゃって5G」となる可能性
総務省の省令改正により、今秋から可能となる4G用周波数の5Gへの転用については慎重な考えを示した。
5G用に新たに割り当てられた周波数は、現行の4G用周波数と比べて電波が飛びにくい。このため、エリア拡大には多くの時間とコストを要するとされるが、4G用の周波数を使えば一気にエリアを広げられる。そこで、KDDIやソフトバンクは、4G周波数の5Gへの転用に積極的な姿勢を見せている。
しかし、「周波数の幅が広くなるわけではないため、4Gと比べて大幅な通信速度の向上が見込めるわけではない」と中南氏は指摘。5Gスマートフォンのピクト表示で5Gとなっていても、実際には4Gと変わらない「なんちゃって5G」となる可能性があり、消費者保護の観点で懸念が残るとした。
周波数の幅は変わらないため、4Gと比べて通信速度の大幅な向上は見込めないという |
そのうえで、「4G周波数による5Gと、新周波数による5Gをエリアマップで色分けするなどして、ユーザーに周知する必要がある」と述べた。
「エリアマップで色分けするなどしてユーザーに周知すべき」と中南氏は指摘する |