シスコはグローバルではマイナス成長だが、ジャパンの2017年度(同社会計年度、2016年8月~2017年7月)は実は二桁成長。その下支えをしているのが「Cisco Start」だ――。
シスコシステムズが2018年1月17日に開催した記者説明会の冒頭、専務執行役員・パートナー事業統括の高橋慎介氏はそう切り出した。
シスコシステムズ 専務執行役員・パートナー事業統括の高橋慎介氏
Cisco Startは、中小企業向けの新ブランドとしてシスコ日本法人が2015年に立ち上げた。低価格かつ扱いやすい製品を揃えることで、「高くて使いづらい」という同社製品のイメージを払拭して中小企業市場を開拓するのが狙いだ。
当初はルーター製品を軸に販売を開始したが、その後、LANスイッチ「Cisco Catalyst」や無線LANアクセスポイント「Cisco Aironet」等の低価格版も追加。さらに、セキュリティやビデオ会議・コラボレーションサービスも加えるなどラインナップを広げてきている。
Cisco Startの販売実績
高橋氏によれば、2017年度のCisco Startの売上額は、対前年度比237%と急成長。特に「昨年リリースしたCatalystがこの伸びを牽引した」という。上の円グラフ中の赤い部分がCatalystの売上を示している。なお、すでに始まっている2018年度も好調は持続しており、「中小企業における働き方改革の動きが大きく影響している」と同氏は話した。
また、ブランド立ち上げ当初に想定していた顧客層は従業員100名未満の中小企業だったが、製品ラインナップの拡充も背景に「100~1000名規模のお客様への販売も伸びた」(同氏)。Cisco Startの売上のうち、42%が100~1000名規模の企業という。大企業の中小規模拠点も含めて、広範なユーザーの開拓に成功しているようだ。
製品ラインナップ拡充とともに、価格も見直し
シスコはこの勢いを加速するべく、Cisco Startのさらなる拡販に向けた新戦略を発表した。(1)ブランドの強化、(2)製品・価格戦略の強化、(3)販売体制の強化の3つだ。
新たにCisco Startに加わる無線LANアクセスポイント「Cisco WAP 125」。
左は、Cisco 5のキャラクターの1人であるリンカー
(1)については昨年、シスコが強みとするテクノロジーを擬人化したキャラクター「Cisco 5」を発表。さらに、卓球の石川佳純選手、張本智和選手と「Cisco アスリートアンバサダー」契約を締結(参考記事)し、両選手の競技活動をサポートすることでブランド価値を高める活動に注力していく。
(2)製品・価格戦略については、Startシリーズのラインナップを大幅に拡充。さらに、既存製品も含めて価格の見直しも行う。もともと低価格がウリのStartシリーズの各製品の価格を平均10%下げ、価格競争力も高める。