――5月26日に「中期経営計画2019」(中計2019)を発表しました。その背景として、まずICT市場の現状と見通しについて聞かせてください。
坪井 ICT市場全般の傾向としては、調査会社が年率1.3%程度の成長と予測している通り、堅調だと考えています。ただし、その中身はかなり大きく変わると見ています。
デジタル変革に向けた投資が活発になり、一方、既存のシステム更新への投資は下がっていくでしょう。お客様のニーズに合ったソリューションをしっかりと提供しなければいけないと強く感じています。
――やはり、デジタル変革の波に乗ることが重要だと。
坪井 そうです。中計2019でも「安定収益の維持と新事業創出」を基本方針としています。既存事業の安定的な収益を基盤として、IoTという新事業を伸ばしていくということです。
――そのIoTビジネスのための土台作りが、2016年4月の組織再編でした。情報、通信、社会インフラの3事業を統合した情報通信事業本部の1年目の成果はどうでしたか。
坪井 情報通信事業の2016年度売上は1774億円と減収でした。ただ、これはキャリア向けや公共関連の売上減が要因で、それ以外のビジネスは堅調でした。
営業利益は144億円、利益率は8%で、収益性については計画以上を達成できました。キャリア・公共系の減収はある程度予測していたものであり、それをリカバリーするための構造改革を着実に進められたことで収益性を改善できました。
――昨年の組織再編が実を結んだと。
坪井 3つに分かれていた事業本部を統合したことで効率的な体制になりました。どの事業も収益性は計画通り実現しており、堅調でした。
――新たなチャレンジに向けた土台がしっかりできたということですね。
坪井 その通りです。収益基盤が安定し、IoT関連技術に投資して成長するための準備ができました。
――収益基盤の安定化という意味では、IPテレフォニー事業の現状と見通しはどうですか。
坪井 市場全体は横ばいですが、OKIの販売数は伸びています。この分野でも投資を継続的に行ってきたことが成長につながっていますし、今後も続けていきます。