<連載>AIデータセンターネットワーク最新動向2025AIデータセンターネットワークの行方 「光」軸に相次ぐ技術革新

エヌビディアが光電融合技術の1つ「CPO」採用を発表した。光電融合は他にも有望技術が存在し、競争が熾烈化。1.6T伝送やUltra Ethernetの実用化も迫り、AIデータセンターでは通信技術の革新が続く。

エヌビディアがスイッチ製品に採用すると発表したCPOは、800Gbps×128ポート、合計で100Tbpsの伝送容量を提供する(写真提供:エヌビディア)

エヌビディアがスイッチ製品に採用すると発表したCPOは、800Gbps×128ポート、合計で100Tbpsの伝送容量を提供する(写真提供:エヌビディア)

エヌビディアが2025年3月、データセンター向けスイッチ製品に「CPO(Co-Packaged Optics)」を採用すると発表した。これは光電融合技術の実装形態の1つで、光学部品を、スイッチASICと同じ基板上に実装する(図表1)。

図表1 現在のPluggable Opticsと、CPO/LPO

図表1 現在のPluggable Opticsと、CPO/LPO

プラガブル光トランシーバーに光学部品を実装している現在の形態では、ASICとの間を電気配線している。この配線は長く、多ポートスイッチでは電力消費も大きくなる。

CPOはASICと光学部品をパッケージ化するため、光より遅くてエネルギーも食う電気の使用区間を極小化できる。特に省エネ化の効果は大きく、エヌビディアの愛甲氏によれば、「電力効率は3.5倍。3割ほどに抑えられる」という。

エヌビディアがまずターゲットにするのは、大規模なGPUクラスターを構築するハイパースケーラーだ。400G/800G光トランシーバーの消費電力はポート当たり10W超。膨大な数の光トランシーバーを使う大規模データセンターにCPOを適用すれば、目覚ましいコスト・電力削減効果が期待できる。「データセンターのサステナビリティを考えると、CPOによる電力削減は急務だ」(同氏)

エヌビディアは、InfiniBandとイーサネット規格の両方で、CPO搭載スイッチを提供する。Quantum-X Photonics InfiniBandスイッチを2025年後半に、Spectrum-X Photonicsイーサネットスイッチは2026年に発売する予定だ。

CPOに2つの対抗馬

CPOは、エヌビディアの専売ではない。ブロードコムも以前から開発しており、実需が伴わず長年くすぶっていたものが、ここに来て需要家が突然現れた。業界団体のOptical Internetworking Forum(OIF)等で規格の策定も進んでいる。また、測定器メーカーも素早く反応。アンリツはいち早く、CPO測定ソリューションの提供を始めている。

ブロードコムASICを搭載するベンダーは多く、CPOの実装が広がると予想されるが、どこまで普及するかは未知数だ。ハイパースケールデータセンター以外でコスト競争力を発揮できるかが課題の1つ。さらに、CPOは基板上に光学部品をパッケージ化しているため、光トランシーバーのように故障した際に簡単に取り替えられない点が導入の障壁となるかもしれない。

競合技術との競り合いも熾烈化しそうだ。対抗馬となりそうな技術が2つある。LPOとOCSだ。

LPO(Linear-drive Pluggable Optics)はプラガブルモジュールの形態は残したまま、DSP(デジタル信号処理)をASIC基盤へ移動したもの。モジュール全体の消費電力の半分ほどを占めるDSPをスイッチングチップに統合することで、消費電力を削減。また、DSPを省くことでモジュールの低価格化、低遅延化にもつながる。

LPOはアリスタネットワークスが先行し、対応スイッチを実用化している。また、光トランシーバーメーカーからも、800G対応LPOモジュールの市場投入が始まっている。

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